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東アジアの中の国風文化

うう、この週末はベトナムに行ってる。ぐすん。
ベトナムの方も「13世紀の世界を背景としたバックダン河の戦いと陳朝」国際会議に招待されたので、行かないわけにいかないのだが。

【近世史フォーラム12月例会のご案内】
◇日時:2018年12月22日(土)15:00~17:00
◇会場:大阪市中央公会堂 第8会議室
    http://osaka-chuokokaido.jp/map/
◇報告
 河上麻由子氏「東アジアの中の国風文化」
 〈参考文献〉
  西村さとみ「唐風文化と国風文化」(『日本の時代史5 平安京』吉川弘文館、
2002年)
  西本昌弘「『唐風文化』から『国風文化』へ」(『岩波講座日本歴史』5、岩波
書店、2015年)
  佐藤全敏「国風とは何か」(『日本古代交流史入門』勉誠出版、2017年)

☆今後の例会予定
 1月例会:2019年1月25日(金)夕方、於大阪、澤井廣次氏報告
 2月例会:2019年2月23日(土)夕方、於大阪、桐田貴史氏報告
 3月例会:2019年3月24日(日)午後、於津、太田光俊氏報告

シリーズ日本の中の世界史

イメージ (132b)
シリーズの第1冊として南塚信吾著『「連動」する世界史 19世紀世界の中の日本』(岩波書店)が出た。

高校「歴史総合」などもにらんだ企画だろう。池田忍、木畑洋一、久保亨、小谷汪之、南塚信吾、油井大三郎、吉見義明の7人がそれぞれ1冊づつ出すそうだ。

本書の章立ては
プロローグ--「連動」する世界史
第I章 変革の時代-世界史の中の幕末・維新
第II章 「国民国家」の時代--世界史の中の明治国家
第III章 帝国主義の時代--世界史の中の日清・日露戦争
エピローグ--「土着化」する世界史

本シリーズの特徴は、著者陣の中で「日本史学」の専門家が少数だということである。
「日本対外関係史」を除けば学界では「日本史」と「世界史(=外国史)」は棲み分けてお互いの縄張りを荒らさない(→「世界史」の中には日本は申し訳程度にしか出てこない)というのがこれまでの通例だったが--そう書くと怒る専門家もいるだろうが、大勢が宋であることを否定するのはとても難しい--これはそういうタブーを犯して日本史以外の専門家が日本史を含む世界史を書いてしまおうおうという企てであろう、海域アジア史や世界史教育で同じ試みをおこなってきた人間として、とても喜ばしい。

ただし日本史の多数派(「主流派」でない「多数派」だというのが中世史のT先生の表現)にこういう著作が理解されるかどうかは、なかなか簡単ではないだろう。なにしろ「日本の日本史」はいかなる「日本の外国史」より研究の層が厚く、先行研究を正確に押さえることは--日本語で読めるという利点があるにせよ--とても難しい。また日本史学界は時代別・テーマ別などの講座・展望類を出すことに熱心だが、それがスタイル、内容、ボリュームなどどこを取っても、基本的に「日本語ネイティブの日本史専攻者」以外の読者を想定していない点が、巨大な障害を作りだしている。

ということで日本史専門でない学者の著作を日本史専門家が読むと、「なんだこの不正確な記述は、全然わかっとらん」という違和感が必ず湧き出るだろう。問題はそこで本を置いて「以後無視する」となることである。
これはもちろん日本史専門家だけの問題ではない。日本史研究者が対外関係史や比較史などで外国のことを書くと同様に不正確な記述が混じることは避けがたい。「これだから世界を知らない日本史研究者は」といった批判も浴びがちである。お互い様であって、両方が相手の理解につとめるべきなのだが、問題が日本では「日本史」と「外国史」の関係は不均等だという点にある。研究者や学生の数、出版界やマスコミでの扱いなど、すべてはっきりとした不均衡がある。
相互関係が不均等なもの同士が「平等に」競争し「平等に」結果責任を負うという思想は、現在の新自由主義をはじめ歴史上で枚挙に暇がないが、それでいいのだろうか。

日本史についての誤解・曲解はこういう外国史研究者による者に限らない。今話題の『日本国紀』など学界外の著者・論者によるものは、より深刻な問題を作りだしている。要するに外国史研究者やアマチュアなどの「よそ者」が問題を起こしているわけである。
ただそれに対し、「これだから素人は困る」と冷笑するだけでいいだろうか。
それは結局、外国人の観光客や労働者が示す日本文化に反する振る舞いお粗末な日本語に対して怒りながら、他方で「日本文化の奥ゆかしさはしょせん外国人にはわからない」「日本語は難しいから外国人にはわからない」などと平気で言って、「わからないならわかるまで教えよう」とは夢にも考えない人々と同じことをやっているのではないだろうか。

私がいくらそう言っても、動かない日本史専門家がたくさんいる。もちろん私の働きかけも下手なのだが、ベトナム史の何百倍も教員ポストを持っている日本史がどうして動かないのだろう。見ていられなくて、私は(1)日本史の先端研究が届いていない相手への普及活動、(2)せっかくの研究を世界の中に位置づけられないでいる日本史専門家への口出しなどのかたちで、日本史を語ってきた。今回の著者陣も同じ感覚を共有しているに違いない。対外関係史以外の日本史学界がこれに答えないようでは歴史総合の失敗は必至である。その先に待つ外国史だけでなく日本史学界にとっても悲惨な政治的・経済=社会的な光景を、私は見たくない。

※日本社会の欧米崇拝、アジア軽視、中でも東南アジア軽視などの問題と歴史学界・教育界の責任についてはここでは書かない
でおこう。日本史の責任はそこでも看過できないが。




「沈黙の春を生きて」上映会

2018年12月7日(金)18:30から北九州市立大学本館A101にて「沈黙の春を生きて」
を上映します。

北九州市立大学へのアクセスは
http://www.kitakyu-u.ac.jp/access/kitagata.html

上映後には坂田雅子監督をお招きしてのアフタートークがあります。

「沈黙の春を生きて」は、アメリカ軍がベトナムに散布した大量の枯葉剤の後遺
症に苦しむベトナムの人々、枯葉剤を浴びたアメリカ人帰還兵と子ども、そして
枯葉剤の刻印を背負った両国の人々の勇気を描いた作品です。一般予約1000円、
当日1200円です。

なお、「沈黙の春」とは、1962年にレイチェル・カーソンが農薬の危険性を予言
した著書名です。

ぜひお立ち寄りください。

https://kitagata-cinema.blogspot.com/2018/10/020.html

第82回「東南アジアの社会と文化研究会」

第82回「東南アジアの社会と文化研究会」を下記の通り開催します。

今回は、インドネシア・フローレス島における絣布をめぐる社会的生活とその変化について、長年同地でフィールドワークを積み重ねてこられた青木恵理子先生にお話をしていただきます。

オープンな研究会ですので、ぜひお気軽にご参集ください。
事前登録等の手続きは必要ありません。
また、研究会後には懇親会を予定しております。

●日時
2018年12月14日(金)16:00~18:00(15:30開場)

●場所
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
総合研究2号館4階 会議室(AA447)
会場についてはこちらもご参照ください。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/about/access
地図が二枚ありますが、下の方の地図(「本部構内」)です。

●話題提供者
青木 恵理子 氏 (龍谷大学教授・京都大学客員教授)

●発表題目
インドネシア・フローレス島における絣布の社会的生活:日常・贈り物・消費文化などの観点から

●発表要旨
 インドネシア南東部にある東ヌサテンガラ州は、絣をはじめとした何種類かの技法による、腰機(いざり機・原始機)で織った布の産地として、手織り布愛好家の間では国際的に有名である。絣織の技法は17世紀にインドから伝わったと考えられ、パトラと呼ばれる、インド由来の模様のパタンをもった布が、この地域の各地で今でも織られている。
フローレス島は、東ヌサテンガラ州に位置する、四国ほどの面積の、東西に長い島である。人口の90%はカトリック。島の西部では紋織、中部以東では絣布が織られている。1979年以来私が調査をしてきた中部山岳地帯では、絣織生産はなされていないか、或は、禁じられているが、日々の生活において身に着けられているだけでなく、誕生から死に至るまで繰り返し行われる親族間の贈り物として、社会生活にとって欠かせないものとなっている。
 フィールドワークを始めてから40年の間に、様々な変化が起きた。80年代から、コーヒー、丁子、カカオなどの換金作物栽培が導入された。ほぼ同時期に、フローレス島中央山岳地帯の人びと(多くは男性)が、マレーシアへの(不法)出稼ぎに、1990年代の末からは国内出稼ぎに出かけるようになった。現金収入を得るようになったが、自給のための食糧生産は減少し、そういった食料を現金で購入するようになった。現金収入が可能になったことにより、贈与財にも現金や町で購入した消費財が多く取り入れられるようになった。
 1990年代末から、土着化の方針のもと、カトリック教会が教会行事の際の「地方」衣装着用を推進するようになった。1998年からの行政改革「地方分権化」の潮流の中、地方文化の強調にも伝統布が使われるようになり、絣織が多く生産されるようになった。1980年代から海外からの観光客がフローレスを訪れるようになり、お土産として絣布を購入するようになった。手ごろな値段で買えるよう、地元で使われる絣布とは異なる模様の、小さいサイズのものも作られるようになった。また、絣布の生産と流通に関与するNGOや産業省や地元民間人のなども出現した。
 本発表では、絣布の社会的生活を把握することによって、フローレス島中央山岳地帯、ひいては同じような状況にある近隣地域の生活の変化の原理を探ってみたい。

●「東南アジアの社会と文化研究会」のウェブサイトには、今回の研究会の案内、発表要旨、研究発表に関わる写真が掲載されていますので、ご覧ください。
http://www.chiiki.cseas.kyoto-u.ac.jp/syakai-bunka/

「日本のベトナム関係アーカイブズ,ベトナムの日本関係アーカイブズ」ワークショップのご案内

ワークショップのご案内
「日本のベトナム関係アーカイブズ,ベトナムの日本関係アーカイブズ」

2018年11月24日(土)

学習院大学北2号館10階「大会議室」

13:00 開会挨拶 保坂裕興(学習院大学教授)
13:05 趣旨説明 武内房司(学習院大学教授)
13:15 ダオ・ドゥク・トゥアン(Dao Duc Thuan. ベトナム国家人文社会大学アーカイ
ブズ・文書管理学部). "Japanese
Disarmament in Vietnam after the World War II Trough Records and Archival Documents in Some Vietnamese Archives".
通訳:宮沢千尋(南山大学人文学部教授)
13:55 カム・アイン・トアン(Cam Anh Tuan. ベトナム国家人文社会大学アーカイブ
ズ・文書管理学部). "Archival
Documents about Indochina-Japan Relations in the World War II Era (Case of the Haiphong-Yunnan Railway)".
通訳:宮沢千尋
14:35. フレデリック・ルスタン(Frédéric Roustan. エックス・マルセイユ大学ア
ジア研究所). "Between two
shores : The construction of an archival corpus on Japanese-Vietnamese mixed families and their children (1930-1975)"
15:15. コーヒーブレイク
15:35. グエン・ホン・ズイ(Nguyen Hong Duy. ベトナム国家人文社会大学アーカイブ
ズ・文書管理学部). "Vietnam –
Japan relations since the end of 2nd World War to 1973 through archival documents of the Prime Minister’s Office fond at Vietnam National Archive Center III"
通訳:チャン・ティ・ミー(東京外国語大学大学院博士後期課程)
16:15.小原由美子(国立公文書館首席専門官)「企画展「日本とベトナム:きざまれた
交流の軌跡をたどる」をめぐって」(仮題)
通訳:チャン・ティ・ミー
16:45.立川京一(防衛省防衛研究所)「第二次世界大戦期の日越関係に関する日本の史
料情況」
通訳:チャン・ティ・ミー
17:15. 白石昌也(早稲田大学名誉教授)「総括コメント」
17:35. 討論・質疑応答
17:55. 閉会挨拶 高埜利彦(学習院大学名誉教授)
18:00. 懇親会

映画『クワイ河に虹をかけた男』(泰緬鉄道和解活動に生きた永瀬隆氏のドキュメンタリー)英語版上映のお知らせ

上智大学アジア文化研究所では、昨年度上映し好評を博したドキュメンタリー映画『クワイ側に虹をかけた男』を11月19日(月)17時より再上映いたします。泰緬鉄道和解活動に生きた永瀬隆氏の貴重な長編ドキュメンタリーです。


 今回は英語版です。ナレーションはすべて英語吹き替え、ほかも英語字幕つきです。上映後は根本敬による解説と、学生代表によるコメント(いずれも英語)、そして満田康弘監督による挨拶がなされます。ぜひおでかけください。


主催:上智大学アジア文化研究所

日時:2018年11月19日(月)17時~19時45分 (開場16時30分)

   旅するアジア映画上映会
映画上映:17時~19時(120分)
     『クワイ河に虹をかけた男』(英語字幕付版)  

     監督:満田康弘 2016年 

     後援:オーストラリア大使館、オランダ大使館

   http://www.ksb.co.jp/kuwaigawa_movie/index.php

上映後(19時10分~19時45分)

     解説:根本 敬(上智大学アジア文化研究所、総合グローバル学部教授)*英語
     学生コメント:オベイディ 英美理(上智大学総合グローバル学部4年)*英語
     監督挨拶:満田 康弘(KSB瀬戸内海放送)


会場:上智大学 四谷キャンパス 中央図書館 9階L-921
https://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/accessguide/access_yotsuya.html


申込:無料ですが、上智大学以外の方は、11/15までに下記へメールでお申し込みください。
    i-asianc(a)sophia.ac.jp
プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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