大阪大学歴史教育研究会5月例会

日本西洋史学会など色々重なっているのだが。。。
日本の歴史研究・教育の枠組みに関するとても重要な報告が並びます。


【大阪大学歴史教育研究会 第113回例会】

 日時:2018年5月19日(土)13:30~17:30

 会場:大阪大学豊中キャンパス文学研究科本館2階大会議室 地図


【1】猪原達生(大阪大学大学院文学研究科博士後期課程)

 「東洋史学における入門教育とは―阪大東洋史の入門講座を例に―」

 大阪大学の東洋史学研究室(文学部人文学科東洋史学専修/文学研究科文化形態論専攻東洋史学専門分野)では、学部生向けの入門講座を毎年度4〜5月に研究室構成員が全員出席する合同演習の場で開催している。この講座は、阪大での東洋史学の研究に必須となる基礎知識のうち、主に東洋史学史・漢籍・工具書の3分野について博士後期課程院生が学部生に向けて講義するものである。この入門講座の主目的は当然学部生に向けての基礎知識の提供であるが、その内容はある程度までが発表する大学院生の裁量に委ねられており、大学院生自身の学びの場ともなっている。
 本発表では、東洋史学入門講座の内容とその意義について、歴史学界全体の状況や発表者自身の考えも交えて紹介することで、歴史学の入門教育の一例を示したい。合わせて、入門講座を授業として独立させた想定で、シラバスの試案を提示したいと思う。


【2】佐藤正幸(山梨大学名誉教授)

 「母国語による近代化と日本の歴史学―歴史概念用語の創出がディシプリンとしての歴史学を形成する―」

 「ディシプリンとは、当該の学問分野独自の定義に基づいて造語された概念用語を使用し、その学問独自の理論と方法に基づいて、この世界で生起している現象を説明し、解明せんとする(集団的)知的行為である。」 と定義される。[佐藤(2016)]
 具体的には、歴史叙述・歴史教育で使用される概念用語として、例えば、「歴史」、「西洋」、「東洋」、「西暦」、「鎖国」、「藩」等々の概念用語がある。これらの用語は、欧米語からの翻訳ではない。日本人が過去を振り返るときに、その時代には使用されていなかった熟語を創出することで、過去の出来事をより良く理解しようとして行われる歴史的思考行為である。
 本報告では、上記のような歴史概念用語から、「歴史」、「西洋」、「西暦」という日本独自の概念用語について、そのユニークさと創作の背景を述べる。そして、これらの造語の背後には、19世紀中頃以降、日本が「母国語による近代化」という、世界的に見て極めてユニークな近代化の方法を採用することが可能であった、歴史的文化基盤の重要性について考察する。

[参考資料]
① 佐藤正幸「西洋史学はディシプリンかー母国語による近代化の上に成立した世界的にユニークな学問」『西洋史学』 (260) 42-55 2016年12月.
② 佐藤正幸「西ヨーロッパと東アジアにおけるヒストリオグラフィーのアーキタイプ研究」『山梨国際研究』(11) 82-98 2016年3月.
(URL: http://www.yamanashi-ken.ac.jp/wp-content/uploads/kgk20160091.pdf)
③ 佐藤正幸「明治初期の英語導入に伴う日本語概念表記の変容に関する研究」『山梨国際研究』 (9) 25-36 (2014).
(URL: http://www.yamanashi-ken.ac.jp/wp-content/uploads/kgk2014003.pdf)

(※参考資料②、③は併記のURLからダウンロードしてください。①は当日コピーを配布します。)


第21回宮城歴史科学研究会歴史学入門講座のご案内

第21回宮城歴史科学研究会歴史学入門講座のご案内


日時:5月19日(土)14時~17時(開場:13:30)

場所:東北学院大学土樋校舎5号館1階511教室

油井大三郎氏
(東京大学・一橋大学名誉教授・高大連携歴史教育研究会会長)

「戦争違法化」と「正戦論」の間
  ―両大戦間期の日本史と世界史のギャップをどう埋めるかー

【講師から一言】戦後の日本ではアジア太平洋戦争とその外国人被害者に対する謝罪と補償がなかなか進まないのは何故か。
その原因の一つに、近代の戦争を世界史的に位置づけて反省する歴史意識の希薄さがある。
この問題を第一次世界大戦の受け止め方における日本と欧米のギャップに注目して考えてみたい。

             記 

一般来聴歓迎。  入場は無料です。
当日は、公共交通機関をご利用ください。
終了後、講師を囲んで懇親会を開催します。

宮城歴史科学研究会
980-8576 
仙台市青葉区川内27-1
東北大学文学研究科 柳原敏昭研究室
       022(795)6063  tyana(a)m.tohoku.ac.jp

大阪大学歴史教育研究会第112回例会のお知らせ

今週の土曜。準備が。。。
西村先生の「日本史探究」についての報告はぜひ聞くべきものである。「探究」は従来のB科目の焼き直しではない。


【大阪大学歴史教育研究会 第112回例会】


日時:2018年4月21日(土)13:30~17:30


会場:大阪大学豊中キャンパス文学研究科本館2階大会議室 地図


プログラム:


【1】桃木至朗(大阪大学大学院文学研究科教授・本研究会代表)

「歴史教育・入試改革の動向と大阪大学歴史教育研究会2018年度活動方針」


【2】西村嘉髙(大阪大学大学院文学研究科研究生・青山学院高等部)

「高校新学習指導要領の告示を受けて-「日本史探究」を中心に」


【報告要旨】

3月30日に2022年度から実施される高等学校の学習指導要領が官報告示された(現在、文部科学省のHPで閲覧可)。現行の指導要領との違い、中教審答申との関係、パブリックコメントとその後の変化が注目される。これらを比較検討する。

「歴史総合」については早くから議論が始まっていたが、「世界史探究」と「日本史探究」の議論は遅れている。ここでは「日本史探究」に焦点を当て、現行の日本史Bとの違い、日本と世界を扱う「歴史総合」と重なる近現代史部分の違い、入試はどう変わるのかなどなど疑問点をあぶり出していき、全体の討論で問題点を深めていきたい。

【参考文献】

君島和彦「高校必修科目『歴史総合』はどうあるべきか」(『歴史学研究』№956 2017年4月)

西村嘉髙「『歴史総合』のカリキュラム案」(『日本歴史学協会年報』第32号 2017年)

與那覇潤さんの新著ほか

與那覇潤さんの新著『知性は死なない 平成の鬱をこえて』
羽田正さんの『グローバル化と世界史』
小島毅さんの『儒教が支えた明治維新』
小浜正子さんほかの『中国ジェンダー史研究入門』

最近読んで参考になった本である。講義に活かしたい。
なお羽田さんには「阪大の秋田や桃木の言ってるグローバルヒストリーの中身は賛成するが、なにかというと大阪大学を連呼するのはよその人間が協力しにくくなるのでやめるべきだ」とご批判をいただいた。まことにもっともである。ただそれを東大の有名教授に言われると反発したくなるのが、私のような小人の性である。人類史上で自己の集団に固有名をつけて自己主張しなければならないのは、どんな集団がどんな状況に置かれた場合だろう(このテーマはアクティブラーニングの課題になるはずだ)。
自己主張は他者との関係の緊張が求めるものだろう。それがなければ「お前たちはなに人だ」と聞かれても「人間だ」と答えていればいい。では他者との関係が中心-周辺関係である場合、ものごとの固有性は中心と周辺のどちらに顕在化するだろうか。中心に飲み込まれまいとする自己主張であれ中心側からの差別的なレッテル貼りであれ、また周辺側を呼ぶ呼称であれ中心側を呼ぶ呼称であれ、それは周辺側に顕在化する。ヨーロッパで「歴史」と普通名詞でいえば最近まではヨーロッパの歴史を意味した。ベトナムの歴史は「ベトナム史」と固有名を言わねばならない。日本の大学では「哲学専攻」と「中国哲学」「インド哲学」などの間にもそういう関係がある。メールアドレスの最後に国名略称を要求されるのはアメリカではなくその他の国々である。

つまり東大の先生は東大を連呼する必要はないが、阪大が(医学部はいざ知らず人文学で関西以外にも)認知されようと思うと、いささかどぎつい宣伝も必要になるのである。
と言ったら賢い東京の学者さんたちにどう粉砕されるだろうか?

ワークショップ“Global Perspectives on the History of Europe and Asia”

この日はおもいきり他の仕事と重なっていてほとんど出られない(涙)...

HEKKSAGON 2018 Osaka Conference related Workshop
“Global Perspectives on the History of Europe and Asia”
Date: 12th April 2018 (Thursday) 9:00—17:00

Venue: Convention Center, Meeting Room 1 (1F), Osaka University (Suita campus)
        https://facility.icho.osaka-u.ac.jp/convention/map.html

・The Early Modern World from Global Perspectives
Chair: Shigeru Akita (Osaka University) 9:00-11:30
(1) Nikolas Jaspert (University of Heidelberg)
“Conversions to Islam in the Medieval Mediterranean”

(2) Dominic Sachsenmeier (Goettingen University)
“Between Hegemonies. Global Perspectives on 17th-Century Chinese Catholicism"

(3) Daisuke Furuya (Osaka University)
“Japan as Mirror: The conglomerate features of Swedish monarchy from the view of Swedish experience in Japan”
Comment: Kojiro Taguchi (Osaka University)

Lunch (11:30-12:30 at Ichou-Kaikan)
・The Twentieth-Century Transformation of the International Order of Asia in the 1930s-1950s
Chair: Harald Fuess (University of Heidelberg) 13:00-17:00 (including tea)
(1) Takuma Melber(University of Heidelberg)
“Asia and Europe under Japanese and German occupation in World War II – a short comparison”

(2) Hiroaki Adachi (Tohoku University)
“The Greater East Asia Land Development Program and the Construction in Wartime Japan of East and Southeast Asian Economic Zone”

(3) Yasuko-Hassall-Kobayashi (Osaka University)
“We need a command of Japanese! - Flows of knowledge between Japan and Australia during WWII”

(4) Tatsushi Fujihara (Kyoto University)
“Rice Varieties Developed in the Japanese Empire 1930s-1950s”
Comment: Christopher Craig (Tohoku University)
     Steven Ivings (Kyoto University)  

Organized by Graduate School of Letters and Global History Division, Open and Transdisciplinary Research Initiative (OTRI), Osaka University
Contact: Shigeru Akita akita(a)let.osaka-u.ac.jp (phone: 81-6-6850-5675)

『世界史とつながる日本史 紀伊半島からの視座』

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高校「歴史総合」など日本史と世界史の接続・統合をにらんだ書籍はつぎつぎ出版されているが、ダントツの内容かもしれない。
海域世界と山・森の世界がダイレクトにつながる紀州は、東南アジアとの共通点もたくさんある。
プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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