阪大歴教研の1月例会

これを忘れるところだった。「絶対主義」や「南インド」のイメージが変わること請け合い。

新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
大阪大学歴史教育研究会第102回例会につきまして、以下の通りご案内申し上げます。

日時:2017年1月21日(土)13:30~17:30

会場:大阪大学豊中キャンパス文学研究科本館2階大会議室

プログラム:
【1】古谷大輔(大阪大学大学院言語文化研究科准教授)
「世界史における「礫岩のような政体」論の視座〜中世史と近代史のミッシングリンクを求めて」
【報告要旨】
近世ヨーロッパの政治秩序は、主権が行使される一定の領域を前提に集約的な国家経営の実現を論ずる近代国家論の前史として語られてきました。これに対し、中世以来のヨーロッパの政治社会が育んだ規範を前提に、多様な来歴をもった複数の地方政体を「礫」に準えつつ、その時々の情況に応じた戦略によって、普遍君主の下に「礫岩」のように連なった政治秩序を論ずる議論が「礫岩のような政体」論です。近代主義的な国家観を前倒しせず、「王と政治共同体の支配」といった多元的な権利意識の存在を前提とした場合、中世の封建的な政治秩序と国民国家のような近代の政治秩序はどう結びつけられるでしょうか。また近世ヨーロッパの政治秩序に見られた「礫岩」性を踏まえた場合、ヨーロッパとアジアの関係史はどう刷新される可能性があるでしょうか。この報告では国内外の研究者と共に進められている研究成果を紹介しながら、世界史における「礫岩のような政体」論の位置づけを皆さんと共に考えたいと思います。

【2】三田昌彦(名古屋大学文学研究科助教)
「近年の南アジア前近代史研究と高校世界史教科書」
【報告要旨】
南アジア前近代史に関する近年の世界史教科書の記述は、今世紀に入って大きく変わってきている。現在のほぼすべての教科書で見られるドラヴィダ文化=南インド史の独自性の重視(南アジア(「インド」)の一体性への疑問)、インド洋交易史の充実などはその典型である。しかし、なお教科書記述には盛り込まれていない近年の南アジア前近代史研究の成果も数多い。それらの動向を紹介し、それによって将来的にあるべき「世界史の中の南アジア史叙述」を考えるきっかけにしたい。紹介予定の新動向としては、①南アジアとアフロ=ユーラシア世界との関係、②前近代南アジア世界の曖昧な宗教アイデンティティとイスラーム国家、③多言語・多文化世界の帝国システム(言語文化・文学史研究の成果)。また南アジア史叙述を考える際の根本問題として、現行の帝国中心の世界史教科書では叙述困難な南アジア史の特質(地域国家・地域文化の歴史)についても考えてみたい。

それでは研究会にて皆様とお会いできますことを楽しみにしております。

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大阪大学歴史教育研究会事務局 高木純一
E-mail: rekikyoken(a)gmail.com
HP: https://sites.google.com/site/ourekikyo/

日本と世界が出会うまち・堺2016

次の日曜(阪大歴教研100回例会の翌日)
堺の博学連携による中高生の研究発表会。これも4年目になる。
http://www.city.sakai.lg.jp/kanko/hakubutsukan/event/2016sakai_project.html

「日本と世界が出会うまち・堺 2016」研究発表会(参加無料)(募集中)

【日 時】 2016年(平成28年)11月20日(日曜) 
【場 所】 堺市内ホール(サンスクエア堺ホール)14時~18時30分
【内 容】 中学生・高校生グループによる研究発表

参加者の所属校(応募順)
堺市立堺高等学校、帝塚山学院中学校・高等学校、大阪府立天王寺高等学校、帝塚山学院泉ヶ丘中学校・高等学校、金蘭千里高等学校、関西大学中等部・高等部、雲雀丘学園中学校・高等学校、羽衣学園高等学校、大阪府立堺東高等学校(パネル展示のみ)

研究対象・テーマ(順不同)
百舌鳥古墳群、南蛮貿易、堺庖丁、堺の茶菓子、茨木の隠れキリシタン、おみくじ、与謝野晶子とパリ、大阪万博 など

シンポジウム 「未来への文化遺産: マニラ・沖縄・プノンペン 戦争の記憶を継ぐために」

上智大学アジア文化研究所では、Sophia Open Research Weeks2016シンポジウム

「未来への文化遺産: マニラ・沖縄・プノンペン 戦争の記憶を継ぐために」を2016年11月13日(日)に開催いたします。皆様のご参加をお待ちしております。

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戦争・紛争に関わるミュージアムは、その体験・記憶を次世代へ伝えるだけでなく、現代及び未来の平和な市民社会構築に貢献する“文化遺産”となりうるのか。アジアの3 都市を事例に共有し比較検討します。



Sophia Open Research Weeks2016シンポジウム 「未来への文化遺産: マニラ・沖縄・プノンペン 戦争の記憶を継ぐために」

主催:上智大学アジア文化研究所

日時:2016年11月13日(日)13:00-16:30(12:40開場)



講師:

アンベス・R・オカンポ (歴史学者・ジャーナリスト・作家アテネオ・デ・マニラ大学)

* 英語による講演(日本語逐次通訳)

「マニラそしてフィリピンの歴史記憶」(仮)



園原 謙 (沖縄県立博物館・美術館)

「戦争体験を起点とする平和創造-沖縄戦体験を基底にした沖縄県の平和思想-」



丸井 雅子 (上智大学アジア文化研究所)

「記憶遺産としてのカンボジア内戦資料-体験の共感をめざして-」



会場:上智大学四ツ谷キャンパス 2号館5階 508号教室

シンポジウム当日(日曜日)は正門からお入りください。

http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/accessguide/access_Yotsuya

http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/map/map_yotsuya
 

申込:無料、事前登録不要。直接会場にお越しください。どなたでもご参加いただけます。



上智大学アジア文化研究所

http://dept.sophia.ac.jp/is/iac/

日韓・韓日歴史家会議

忙しくてFBの方に書いたきりブログに書けないでいるうちに、トランプ当選などがあって気が抜けてしまったが、いちおう書いておこう。
先週の週末は、「現代世界と歴史学」をテーマにした第16回日韓・韓日歴史家会議に都内で出席。
初日の「歴史家の誕生」は高名な歴史学者が自分の研究の道のりについて話すもので、今年は田代和生先生と金泳鎬先生。
2日目は「大学での人文学と歴史学」「歴史教育の新しい動きと歴史学」「社会とつながる歴史学」の3つのセッションがおこなわれ、3日目は総合討論。私は毎度おなじみ日本の歴史学と歴史教育の危機とその中での阪大史学の動きを、教科書『市民のための世界史』と「アジア史を正当に位置づけ自国史を完全に組み込んだ世界史」というコンセプトを中心として紹介した。ほかには現代歴史学のなしうること(どんなメタ知識やスキルを供給しうるか)、将棋や囲碁で人間を負かした人工知能の発達に対して歴史学は生き残れるか、方法としての地域史と東アジア史、博物館の役割および戦争との向き合い方、非専門家が作る(事実に反する)歴史像の力などの報告と討論がおこなわれた。
 例年と比べ、3つのセッションの議論が相互に連関しあった点で成功だったと組織委員会の偉い先生がおっしゃっていたが、私も学ぶところが多かった。飲み屋でかの李泰鎮先生や尊敬する大先輩である宮嶋博史さんと親しく話ができたのも感激。ベトナム近代史を研究している西江大学校の尹大栄さんが『市民のための世界史』はどんな(将来の)市民像を打ち出すのかと聞かれたのは、改訂版での課題としよう。

 討論の最後の方で世界が戦争や人類滅亡に向かっているのではないか、歴史学はそれを後押ししていないか、という深刻な発言も出た。トランプ当選はその懸念を裏書きするものかもしれない。少なくとも歴史家が「単に過去に起こったことを復元する知的技術者」に終わってはいけない、という郭次爕さん(釜山大)のコメントは、百万回でも繰り返さなければいけない命題だろう。

日本のアメリカ史教育の問題点

こういう時に祟る日本のアメリカ史教育の民主党中心史観。
もう少し広げると、民主主義は一生懸命教えるが、共和主義が何だかまともに教えない日本の教育。

大阪大学歴史教育研究会第100回例会のご案内

よく続いたものだ。皆さんのご協力に感謝。

大阪大学歴史教育研究会第100回例会につきまして、以下の通りご案内申し上げます。

日時:2016年11月19日(土)13:30~17:30

会場:大阪大学豊中キャンパス文学研究科本館2階大会議室

プログラム:
【1】中村 翼(大阪大学大学院文学研究科助教)
 「映画「もののけ姫」を用いた大学教養教育としての日本中世史概説の試み」
【報告要旨】
 宮崎駿の代表作の一つ「もののけ姫」は、15世紀後半頃の日本を舞台とし、かつ歴史学の成果をふんだんにとりいれた作品として知られている。そのため、日本史(とくに中世史)の教材として活用している大学・高校教員は多いと思う。ただ、その活用にあたっては、劇中にいくつかある定番のシーン(たとえば、市や被差別民の描写)を切り取ってみせるというのがほとんどではなかろうか。とはいえ、この映画は、これ一本で中世史(11~16世紀)の主要な論点を概観しうるポテンシャルを持っている。
 そこで本報告では、大学教養科目としての日本史教育に関する一つの試みとして、「もののけ姫」をフル活用した日本中世史概説のプラン(1セメスター/90分×15回)を提示してみたい。それを通じて、(多くの大学・高校教員は、中世史だけに90分×15回も時間を割けないはずなので、)教養教育として日本中世史を扱う際のエッセンスをどこに求めるのかについて、議論ができればと思う。
 なお、当日は、「もののけ姫」を使った小ネタリストも用意する予定なので、教材研究の一環としても、ぜひお越し下さい。
 
 参考文献:中村翼「もののけ姫」藤川隆男・後藤敦史(編)『アニメで読む世界史2』山川出版社、2015年
 
【2】高木純一(大阪大学大学院文学研究科特任研究員)
 「里山・棚田・鎮守の森 ―日本の村と「日本の原風景」を考える―」
【報告要旨】
 里山・棚田・鎮守の森... 環境破壊、資源枯渇、過疎化等による地方の衰退といった現代的諸課題に直面するなかで、これら日本の伝統的村落景観は、自然との共生や持続的な資源利用を体現するものとして注目され、高く評価されている。これまでは環境学や生態学がその研究を主導してきたが、近年ようやく歴史学のコミットが見られるようになり、その歴史的な成立過程や実態が解明されつつある。その成果においては、これらの景観がともすれば往古以来不変の存在であったかのように捉えられがちであることや、今日失われつつある古き良き、懐かしい“日本の原風景”として理想化されてしまうといった問題が指摘されている。本報告ではこうした点を意識しつつ、最新の研究成果に基づくこれらの“日本の原風景”の実像を示し、併せてその景観を作り上げた主体である中・近世の村落や、それを取り巻く環境等についても言及したい。
プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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