スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

大学入試

毎日新聞が大学入試に関する連載を始めた(「さまよう入試」)。ちょうど、高校在学中に複数回受けられる到達度テストを導入するなどの文科省の検討が報道されたので、それに合わせて連載を組んだのだろう。
初回は、100以上の大学が(隠しているところも含めると多分200以上が)、入試の作成を予備校などの業者に外注しているという話からスタートした。

これについてFacebookで仲間たちの意見を尋ねたところ、大学・高校教員やその他の職業を含めて、外注には批判的な意見が多かった。
理由は大きく2つ。
(1)予備校などであれば、そこの予備校の生徒が有利になる危険が大きい。
(2)大学入試は「こういう学生に来てほしい」というその大学の「アドミッション・ポリシー」をあらわすものだから、問題は自作すべきだ。

どちらも正論である。が、世の中には「正論が通用しない現実」がしばしば出現する。世界史に関する限りだが、一流大学やセンター入試を含めて多くの入試で、愚劣な問題や間違った問題が出され、その一点刻みの得点が、受験生の人生を左右しているという現実が、それに当たる。

(イ)大学教員一般は教育の専門家の資格を必要としない。いわば高校や予備校の教員とちがって、教育や入試の素人なのである→学問のためには、その一般原則を変えるわけにはいかない。
(ロ)それなら少数の入試専門家を雇うとか、プロ野球経験者がアマチュアの指導者になるための講習会のような講習を受けさせるなどの対策を大学側は取るべきだが、経費節減(=教職員の労働強化)の嵐の中で、そんな余裕のない大学が大半である。

ほかに
(ハ)予備校教師などでは質の低い問題しか作れないのではないか、という意見もあったが、これは偏見だろう。大学教員=専門研究者が極端にいえば、自分の狭い専門以外の分野について高校時代の知識しかもたない(それは古くなっているケースは少なくない)でもやっていけるのに対し、高校や予備校の教員はそうはいかない。ちなみに
大学の特色を出せといいながら、日本の「世論」は世界各地域からまんべんなく出題することを要求しがちである。本当に自校でそれができる専門家が揃っている大学など、あるとして東大だけだ。

市場原理主義に従えば、この問題をクリヤできないような大学は「退場」に追い込まれることになるのだが、「完全市場」はふつうの商取引でも存在しないし、まして教育の場では存立しえない。また、小さな単科大学なども含めて、すべての大学にこの条件を求めるのが正当かどうか、はなはだ疑問である。

そう考えると、「ヤミの存在」のままにしておくことで劣悪な状況を放置するよりも、「公認」することで競争を通じた質の向上を実現させるという戦略も考えられるはずである。

畏友O氏のスレッドなどでは、どの大学の出題かは請負の元締めだけが知っていて、実際の作題者は自分がどこの大学の問題を作っているかわからないしくみ(現に採用されているらしい)と、その大学の特色を活かしつつ足りない分野/能力を補う「傭兵」方式が議論されていた。「どこの大学の問題を作っているかわからない」方式は、(イ)の秘密保持には適するが、その大学らしい問題は作れない。秘密保持の問題がクリヤできれば、「傭兵」方式のほうがいいだろう。そもそも、素人である一般大学教員より、プロの「傭兵」のほうがその大学に合った「いい問題」を作れる確率は低くないだろう、とう方向に議論が向かっていたが、私もその通りだと思う。

それにしても、これだけ大学業務の多くが外注されても、個人データの管理など危険な問題は山ほどあるのだが、組合など内部を除けば、世間では全然問題にしない。それなのに、入試というとみんな熱くなって議論する。
あえて皮肉っぽくいえば、日本人って、やっぱりペーパー入試で差を付けることが大好きなんだ。





関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセス・カウンター
あなたは
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。