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『戦後日本史の考え方・学び方 歴史って何だろう?』

成田龍一さんからいただいた。河出書房の「14歳の世渡り術」シリーズの1冊。
中学生向けに書かれたものだが、大人が読んでも感心することがたくさん書いてある(逆に、中学生にわkるかいな、という難しい表現なども皆無ではない)。

戦後日本史にも「終戦(敗戦)はいつか」という問題から始まって、見方によって違って見えることがらがたくさんあるように、歴史というのは解釈であること、現在に拘束されると同時に未来を考えさせることなどが、かんで含めるように書いてある。永山則夫と『三丁目の夕日』を対比して、高度成長期はそんなにいい時代だったかと考えさせるところも勉強になるし、社会運動史などという、今の若者が放っていたら思い浮かべない世界の解説も、簡にして要を得ている。経済史の説明もきちんとしているし、戦後日本史の教科書の視点を相対化するために、沖縄の視点、女性の視点、在日コリアンの視点を列挙して終焉から歴史を見る意味を説いた第4章「「もうひとつの」戦後日本を見てみよう」は、大人にぜひ読ませたい。

結びで用いられた、「歴史はひとつではないが、なんでもありではない」にも感心した。

しいて難点をあげれば、「日本人」「韓国人」「中国人」などの「われわれ」意識が、近代にはじめてできたように書いているところか。この点では、先日読んだ与那覇・東島『日本の起源』の、東アジア諸国のナショナリズムは前近代に深い根っこをもっており、ヨーロッパの国民国家論と同じようにネーション意識を「近代の産物」としたのでは、それと闘うことはできない、という意見の方に賛成である。ベトナム史がらみで何度も書いたことがあるのだが、共産主義運動において、スターリンが「ネーションは近代の産物だ」と託宣をくだしたのに対し、東アジア諸国の共産党系歴史学者がいっせいに反発して「ヨーロッパはそうかもしれないが、わが国の民族は古代からあった」と主張したことが、この問題の深刻さを半世紀以上前にすでに示していると、私は理解している。

そういうツッコミどころはあるにせよ、歴史教育関係者に広く読まれていい本だろう。
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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