就職に有利な学部選び?

ある大手新聞の大学受験特集を読む。
不景気なので就職に有利な理系志望者が増えるだろう、といった予測が書いてあった。

文系はその反対で、「(法学部や経済学部はまだいいが)文学部などは就職に役立たない」という固定観念を、マスコミも親も高校の先生もたいていもっている。

だが、東日本大震災と福島原発事故はなにを教えたか?
「今まで通りのコースで学んだ技術屋」「今まで通りのコースで学んだ官僚・ビジネスマン」ばかりでは日本はやっていけなくなる、国内も治まらないし世界の信用も回復できないということではなかったか?
こういう危機の時代に強いのは、決まった枠の「技術」(社会科学系も含む)を身につけた人間でなく、哲学とか歴史とかいう「なんでもあり」の世界から出てくる「ぶっとんだ」人間である。

たとえば、アジアでのビジネスやアジア向けの国際発信をうまくやらなければ今後の日本が立ち行かないことは常識だ。ところが文学部と外国語(国際系)学部以外の学部には、理系・文系を問わず、アジアの現地語ができるビジネスマンや技術者を養成する仕組みは存在しない(英語と、通訳を解した日本語ですべてすむと今でも思っている)。

このお気楽さが、私にはどうしても理解できない。

文学部の側にも旧態依然とした「有用性を主張できない」専攻や教員(だからといって純アカデミズムで世界に通用するわけでもない)が多いのがつらいところなのだが、われわれは「アジアの歴史と文化を理解し、現地語ができプレゼンもしっかりした」卒業生を生み出し続けている。英語やグローバルな現代情勢も最低限の勉強はさせているから、入社後に営業マニュアルとあわせて訓練すればちゃんと使い物になる。だから、われわれの「東洋史学」の卒業生は、修士号取得者も含めて、一部上場企業にどんどん就職している。雇う側から見れば当然である。

こういう点も含め、高校の先生や年配の市民には、「この20~30年で世の中がどう変わったか」を体系的に勉強してほしい。高度成長期や冷戦期の常識でものを考えられては困る。






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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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