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中国での日本語表記

毎日朝刊の「中国メディア報告」
http://mainichi.jp/select/news/20130805ddm004040015000c.html
が、中国各地に氾濫する「おかしな日本語」を取り上げている。

翻訳の発注主が費用を惜しんで専門業者に頼まないこと、専門家がチェックする体制がないことなどの指摘はおそらく正しいだろう。
「プロのチェック不可欠」「笑うのでなく指摘を」という専門家2人のコメントも妥当なものだろう。

ただ、この記事だけだとますます「中国はケシカラン」と思う”素人”の日本人も増えそうである。

記事中でも専門家が指摘しているが、日本でも怪しい中国語・韓国語や英語の案内・説明は山ほどある。先日ネットで話題になった東京都の五輪誘致のHPの英語なども、そのよい例(とても恥ずかしい例)であった。翻訳の大変さがわかっていない点は、日本人も相当悲惨なのである。言語の専門家でもないアルバイト外国人に丸投げという例もよく見るし、「専門業者ならなんでも完璧にやってくれてチェックの必要などない」という事実に反する思い込みに至っては、「1億人が信じている」というレベルだからいかんともしかたい。発注主とあれこれやりとりしながらきちんとした翻訳を仕上げるのが、まともな専門家というものだ。

多言語環境が乏しくナショナリズムが強い点は、日本も現代中国(漢族社会)も共通だから、こういう点の想像力が働きにくいのも共通なのだろう。

もう一点、たいていの日本人はこういうおかしな日本語を笑うか怒るだけだが、記事にあげられていた6つの誤りの例のうち、4つは文句なくわかるし、残りも容易に見当がつく(英語が併記されていれば確認できるだろう)。日本語を習う外国人が世界で増えるということは喜ぶべきことだが、その人々は日本人のように「アメリカ人並みに話せるまでは英語を話さない」などという馬鹿なことは考えずに、下手な日本語をどんどん使ってくる。日本人に大国の矜持があるなら、それに水を差すようなことをしてはいけない。英米人は、相当ひどい英語でも我慢して理解してくれる。

また英米人は、そういう英語の下手な外国人にわかるように話して(書いて)くれることも多い。日本人はそれが決定的にできない。ゆっくりと、しかしそういう外国人にわかるわけがない漢語や方言を平気で話す日本人がどれだけ多いことか。
現在の政権にもし愛国心が少しでもあるなら、対米従属を深めるだけの初級英会話教育(ギブミーチョコレートの現代版をやろうとしてるとしか思えない)に使う予算の何分の一かを、日本人が「外国人にわかる日本語で話せる能力」の育成に投じるべきである。


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プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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