冊封を受けなければ対等?
唐代だけでなく明代にも、日中間に外交関係はなかったという答案がそれなりにある。
たぶん、それぞれの時期の当初に外交関係が未成立だったという意味で書いているのではなさそうである。
どうやら、朝貢とか冊封とかいうのが「外交関係」だと思っていないらしい。
これについて去年出た確信犯の答案は、「外交関係というのは相互に外交官を駐在させているものをいうので、唐代には日中間に外交関係はなかった」といった趣旨の説明が書かれていた。近代国際法にもとづけばこういうことになるのだろう。ただ、それでは歴史学はできないということだ。
今年出たもっとプリミティブな説明に、「朝貢国は中国の家来と見なされる。だから朝貢関係は外交関係ではない」という趣旨のものがあった。家来というのは国内だけに存在するものだと考えたらしい。「属国というのは外国のことであり、宗主国と属国の関係は外交関係である」といった理屈は--近代の植民地支配と帝国については教えたのだが--思いつかなかったようだ。
それにしても、問題を事前公表すると相変わらず、授業でおこなった説明や使った教科書と矛盾する別の教科書などの記述を、平気で丸写しする学生があとを絶たない。
琉球国王が明の冊封を受けたことは書くが、室町幕府は「朝貢形式で」日明貿易をしたとか「勘合貿易に踏み切った」とだけ書いて、足利義満が冊封を受けたことを書かない答案がすごく多いのは、そういう教科書・参考書が多いせいだろう。そんなに生徒に知らせてはいけないことかね? 琉球国王の方は知らせてかまわないのだとすれば、これは沖縄差別の一種じゃないだろうか。
遣唐使は朝貢だけで冊封を受けていないから対等外交だった、という答案もけっこうある。
「対等だと思いたかった」という適切な解答も少なくはなかったが。
朝貢しても対等だという理屈がわからん。
採点で疲れ、プロ野球の結果を見るとよけいに疲れが増す。
井口の日米通算2000安打を喜ぶ機会を逸してしまった。
たぶん、それぞれの時期の当初に外交関係が未成立だったという意味で書いているのではなさそうである。
どうやら、朝貢とか冊封とかいうのが「外交関係」だと思っていないらしい。
これについて去年出た確信犯の答案は、「外交関係というのは相互に外交官を駐在させているものをいうので、唐代には日中間に外交関係はなかった」といった趣旨の説明が書かれていた。近代国際法にもとづけばこういうことになるのだろう。ただ、それでは歴史学はできないということだ。
今年出たもっとプリミティブな説明に、「朝貢国は中国の家来と見なされる。だから朝貢関係は外交関係ではない」という趣旨のものがあった。家来というのは国内だけに存在するものだと考えたらしい。「属国というのは外国のことであり、宗主国と属国の関係は外交関係である」といった理屈は--近代の植民地支配と帝国については教えたのだが--思いつかなかったようだ。
それにしても、問題を事前公表すると相変わらず、授業でおこなった説明や使った教科書と矛盾する別の教科書などの記述を、平気で丸写しする学生があとを絶たない。
琉球国王が明の冊封を受けたことは書くが、室町幕府は「朝貢形式で」日明貿易をしたとか「勘合貿易に踏み切った」とだけ書いて、足利義満が冊封を受けたことを書かない答案がすごく多いのは、そういう教科書・参考書が多いせいだろう。そんなに生徒に知らせてはいけないことかね? 琉球国王の方は知らせてかまわないのだとすれば、これは沖縄差別の一種じゃないだろうか。
遣唐使は朝貢だけで冊封を受けていないから対等外交だった、という答案もけっこうある。
「対等だと思いたかった」という適切な解答も少なくはなかったが。
朝貢しても対等だという理屈がわからん。
採点で疲れ、プロ野球の結果を見るとよけいに疲れが増す。
井口の日米通算2000安打を喜ぶ機会を逸してしまった。
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