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用語・事項の基準作りに必要なこと

歴史教育改善の提言に向けた学術会議の議論などで、教科書に盛り込む事項や用語がいたずらに増やされてきた事態を改革するため、教えるべき用語・事項の基準を学会などで提示することが主張されている。理系なら当然のことで、先週土曜日の大阪大学歴史教育研究会例会でも、中央ユーラシア史の用語リスト案(世界史Aなどでコンパクトに教えるレベル、世界史Bのセンター入試レベル、進学校の詳しい授業(難関大学の論述問題レベルの3つに分けたもの)を提示してもらったのだが、まだまだ課題が残されていた。

使えるリストを作るには、
・その範囲について、自分で教科書ないしそれに準ずる文章を書いたことがある
・その範囲全体を、自分で教えたことがある
の2条件が必須だろう。それも、「東南アジア史」「中央ユーラシア史」「近代グローバルヒストリー」などの大きなまとまりについてでなければ意味がない。それ以上に細かい分野ごとで分担すると、必ず相互間のちぐはぐが生じる。先日読んだ「歴史評論」でも、木村茂光さんが「すべての日本史教員や博物館員が自分なりの「通史」を組み立ててみるべきだ」と書かれていた。

もう1点、中央ユーラシア史では「十進法的軍隊編成」など固有名詞でない概念を入れようとしているが、そこに「奢侈品」「威信財」など現在の高校教育では想定されていない「難しい一般概念」が入り込んでいた。これらは史学系の院生が知らなかったらゼミで教授にどなりつけられてもしかたのない言葉だが、高校生が一般に習う(本を読んで覚える)言葉ではないから、「進学校の詳しい授業で特別な解説付きで教える(そのために「受験用教科書」に注か囲み記事で載せる)」以上のことはできないだろう。担当したM君には悪いのだが、ここで問題になるのが、「史学系の専門課程に入ると、専門外の人間が何を知っていて何を知らないかを考える能力が、きわめて失われやすくなる」という困った事実である。この能力ももっていないと、使える事項・用語リストを作る際に失敗しかねない。

「教科書を書いたことがある」研究者はどの学会にもいるだろう。問題は、「教えたことがある」「他人が何を知らないか見当がつく」研究者がどれだけいるかということであろう。

これは簡単ではありませんよ。特に阪大以外の「研究者」の皆さん、できますか?

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プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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