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ヨーロッパ人がアジアにスパイスをもたらした?

「市民のための世界史」の大航海時代のところの小テストは、
「大航海時代のアジアにヨーロッパ人がもたらしたものを、商品ないし産物、技術、信仰などから4つあげて、それぞれの影響を簡単に説明せよ」
というのを毎年出題している。

授業中にいろいろ説明しているつもりなのだが、やはり古い答えや誤答・珍答はあとを絶たない。
・キリスト教の「神の前の平等」という思想が広がり社会を変えた--一部の支配者・インテリがそれを重視した(受け入れる方向と恐怖を感じて弾圧する方向と両方)としても、多くの場合、宣教師が受けたのは技術や貿易のためである(他方に既存のムラ社会に受け入れられないマイノリティや最貧困層が信仰するケースがあるが)。インテリの教義解釈だけで宗教を理解してはいけないというのは、現代の宗教研究のイロハである。
・西洋の「進んだ科学技術」がアジア社会を進歩させた--軍事技術など一部にそういう面があったとしても、全体が進んでいたとは言えない。18世紀以降とは話が違う。
・地図作成技術が人々の世界観を変えた--織田信長の話などが過大評価されている。これも変わったのは一部のインテリだけ。

・騎馬や弓矢で戦争をしていたアジアに銃砲が(火薬が、というひどい答案も散見する)伝わり、戦争のやりかたを変えた--織田信長と長篠合戦のストーリー(しかし、長篠合戦の話はウソであることは、最近学校の先生の間でも広く知られているはず)がアジア全体に広げられている。モンゴルの「てつはう」の話は習ったはずだし、私の講義中に明初の火器(朝鮮、ベトナムにも伝わって大きな威力を発揮したが、日本にはほとんど入らなかった)の話をしたのだが。ここは小中高の教育を改めてもらわないとどうしようもない。

・スペイン人が天然痘をアメリカに持ち込んで巨大な被害を与えた話をすると、ヨーロッパ人が天然痘をアジアに持ち込んだという答案もたくさん出てくる。「アメリカ大陸にヨーロッパ人が持ち込んだ」イコール「天然痘はヨーロッパにしかない病気だ」とどうして即断するのだろう。ちなみに天然痘は、前近代ユーラシアの代表的な伝染病として東西にたくさんの記録を残している。

・きわめつけの珍答はコショウ、ナツメグ、クローブなどのスパイスをヨーロッパ人がアジアにもたらして食生活を変えたというもの。どこでとれるかの話も、大航海時代のヨーロッパ人はなにを求めて航海に出たかの話も、授業中にしてあるのだが、トウガラシの話とごっちゃになったか?

前後に出てくるいろんな事象をつなげて勉強する、判断するという発想自体に慣れておらず、とにかく単一の事象や問いだけしか見られない学生が多いのだとしたら、ことは深刻である。
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プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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