世界史雑記帳(10)-銅銭の不思議さ-

新潟大の講演会に行きたい理由だが、
再三書いたり話してきたように、最近の東アジア史研究の重要なトピックに、中国および東アジアにおける銅銭を中心とした貨幣史の研究がある。それは、生産力の発展→交換経済・市場経済の発展→貨幣経済の発展、といった単純な図式で動いたものではない。足立啓二、宮沢知之、黒田明伸、大田由起夫といった日本人の研究が世界をリードしている点も、この分野の面白さである。

まずは貨幣の起源。
貨幣の呪術的意義、王権の象徴としての貨幣鋳造といった文化的・イデオロギー的側面も無視できないのだが、順経済的に見ても、貨幣の発生・普及には市場経済の発達だけでなく、国家財政や税制を支える物流が要求する場合もある。つまり国家がすべてを現物で運ぶ(運ばせる)のは非効率である。
中世日本でも年貢の銭納は都から遠い遠隔地の荘園で始まったという。貨幣を手形ないしクーポンにして、必要な物資の運搬は商人に任せる方が能率的なのだ。まして巨大な中華帝国では、徴税や官僚・軍人の俸給支払い、万里の長城など各地の軍隊への物資輸送などをすべて現物で(国家の官僚や農民の労役によって)行うことはあまりに非能率だ。
ちなみに7~8世紀の日本での銭の鋳造には、「中国にあるものがうちにないのは恥ずかしい」という動機も大きかったと思われる。10世紀に中国から独立した大越(ベトナム)でも、実際の銭使用は主に中国銭を用いながら、独立国の王権の象徴として自前の銭も少量だが作り続ける。(続く。。。と思う)
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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