チャート式歴史学

先月の会で後藤敦史さんが與那覇さんに「中国化する日本」は歴史学の本かと尋ねた際の答えを、後藤さんがあらためて紹介していた。
(1)歴史学のわかりにくいところを図式化して説明する、「チャート式数学」みたいな本である。
(2)史論の本である。

どちらも大事なことだと思う。
(1)について、チャート式などという表現には眉をひそめる「研究者」が多いかもしれない。そういうわかりにくいところを、自分で調べ考えて突き止めていくのが歴史学だという、優等生的指摘をする人も少なくないだろう。
プロの研究者の養成で、特にその人の専門の部分はそうでなくてはいけない。
ただ問題は、プロの養成でない教育をどうするかというところにある。

かつて、大学教育全般について「自分で調べ自分で考えなければいけない」という考えが適用できたとすれば、それは、一方で学生が大学入学時点でかなりの知識や教養をもっており、他方で歴史学の研究対象が狭かったからである。
現在は両方とも根本的に変化している。そこで「自分で調べ自分で考えて」身につくことがらは、研究や教育の専門家が求められている知識や考え方の幅に比べてごく狭いものでしかありえない。

「チャート式」のように単純化するとこぼれ落ちるものやねじまがるものがあるという毎度おなじみの指摘への反論については、散々書いたので繰り返さない。問題はそれ以前にある。

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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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