道路偏重 航路「置き去り」

毎日夕刊の記事。
瀬戸内海では国策で引き下げられる高速道路料金に対抗できず、フェリー業者が次々廃業に追い込まれているそうだ。
結果、四国で建設用クレーンなどを造って本州・九州に出荷している大手企業が困っているそうだ。法令でクレーン車は時速50キロ以上出せないが、逆に高速は50キロ以下では走れない。これに限らず、大量輸送できるフェリーがなくなると物流コストが上がる。車ばかりでは困るのは、子どもや老人、病人などの弱者だけではないのだ。
にもかかわらず、関連する地域でも総選挙の争点にはほとんどなっていないという。

無駄な空港や港湾も山ほど造ったが、日本では道路中心で「自動車交通が王様」という交通行政が続いてきた。国民もそれを支持してきた。エネルギー効率や大気汚染の問題も、あくまで「自動車が王様」という前提を崩さない範囲内でしか論じられない。
結果、鉄道による貨物輸送はすでに息も絶え絶え、フェリーも苦境に追い込まれ、そして高速自体が膨大な建設費の赤字を抱える。

問題はそれが単なる政策の問題でなく、「高速道路を自由に走り回るのが先進国だ」というアメリカやドイツの古い古いイデオロギーが、高度成長期に国民レベルで内面化してしまったことだ。それは「ヨーロッパ中心史観」などと同様、大人の間では現在も全然崩れていない。地理や歴史の授業も、その内面化にずいぶん「貢献」したものである。ここを変えて、たとえば陸上交通でも、高速鉄道やLRT網を中心にした交通体系を作るという現在の先進国標準に合わせるかどうかは、日本の進路にとって重大な問題のひとつだと思うのだが。
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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