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ハーバード白熱日本史教室

遅ればせながらやっと読んだ。

アメリカの大学と授業について、アメリカで一般的な日本認識などについてはとても面白い。
ハーバードの授業では学生18人に一人の割でTAがつくというあたりを読むと、日本の大学がこれと競争しろなどと寝言を言っている輩が、「バンザイ突撃」を命じているに等しいことがよくわかる。

著者の北川智子さんがかなりのスーパーウーマンであることもうかがわれる。アメリカは、こういう人にフルに力を発揮させる場所なのだろう。

教えている日本史の中身は、日本で歴史学を専門にしていれば、「お粗末」と言わざるを得ない。
男性の「ペア・ルーラー」である「レディ・サムライ」のことは今までだれも言っていない、というのは「自分の知らないことがらはこの世に存在しないことがらである」という、ありがちな発想だ。
日本中世史で学位を取った北川さんが、脇田晴子という中世史家の名前を知っていれば、こういうことは言えないはずであり、しかもジェンダー史学界ではワキタ・ハルコの名前はアメリカでもヨーロッパでもそこそこ有名なはずだが、北川さんは女性史やジェンダー史の専門家ではないから知らなかったのだろうか。

ただし、「だからクソミソにやっつけておしまい」ではいけない。
かつて東南アジア史を論じて歴史学に大きなプラスの刺激をあたえた高谷好一、渡部忠世ほかの生態学者・農学者は、歴史そのものについてはしばしば無知にもとづくひどい発言をした。
逆に勉強家で先行研究をきちんと知っている人は、往々にして先行研究の枠組みから抜け出せない。
「無知は力」というのは、ジョージ・オーウェルが言うような皮肉の意味だけでなく、文字通りに正しいことがあるのだ。北川さんも理系出身らしく、かなりぶっとんでいる印象は受けるが、「こういう人(問題提起)をつぶす日本」ではだめだろう。

「日本史とは何なのか、その全体像について問題提起していくことは、一つ一つの対象物の輪郭線を固めるよりは、はるかに喫緊の課題だ」、そして日本人専用の国史でなく、「「地球市民向けの日本史」が早くできるように」しなければならない、という最後の方の記述は、まことに正当である。羽田正さんもこれには賛成してくれるだろう。

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プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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