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大阪府高齢者大学校

向正樹さんがコーディネーターをしている大阪府高齢者大学校の「世界史から学ぶ」科で(阪大関係者中心のリレー講義)、今日は私が「白熱教室」を担当した。
向さんにもらったお題は「ヨーロッパとアジアはいつ分岐したか」
事前に以下のプリントを配布しておいた(ミスプリを修正して掲載する)。

今日はI・IIは説明せず、IIIの部分について私がしゃべりながら問いかけをはさむ「サンデル教授方式」とグループ討論方式を併用した。グループ討論は3(近世のところ)と4の「関連問題」(東アジアの奇跡)について議論してもらった。「サンデル方式」は私が下手であんまりうまくいかなかったが、グループ討論は活発で、発表も要領がよかった。受講生のみなさん、ありがとうございました。

I まえおき
1.ポメランツの「大分岐」論[←山下先生講義]:イングランドと中国の長江下流域、日本などの先進地域は、18世紀においても経済力や生活水準に大きな差がなかった。18世紀にはどの地域も資源と技術の限界に直面したが、そのとき「鉄資源と石炭資源がすぐ近くにあった」「新大陸の資源が手に入った」などの幸運な偶然によって、イングランドだけが工業化に成功した。つまり同じようなコースをたどっていたイングランド(ヨーロッパ)と中国・日本(アジア)のあいだに決定的な分岐がおこった。
2.「大分岐」論の目的は、ヨーロッパが他の地域にくらべて本質的にすぐれているとか、ヨーロッパ史が人類史の本道であって他の地域の歴史はゆがんだ(遅れた)歴史だ、ヨーロッパは世界に進出した16世紀から他地域を圧倒して着々と支配を広げたなどの、「ヨーロッパ中心史観」の打破・・・それでは「ヨーロッパ中心史観」とはどんな歴史の見方で、「大分岐」論はそのどこをどう批判したものか、またほかにどんな点でヨーロッパ中心史観は批判されているか?

II ヨーロッパ中心史観の側がえがいてきた世界史とは?
1.古代史:ギリシアの民主政や個性の尊重(→芸術や科学の発展)とローマの法と契約の精神→オリエント(アジア)は先に文明をきずいたものの専制国家で自由なし。
2.中世史:キリスト教信仰とゲルマン人の自立性→アジアのほうが豊かではあったが、ヨーロッパは中世後半に農業や商工業などおおいに発展。ところがアジアのほうはイスラーム(やヒンドゥー教、仏教、儒教)などおかしな宗教があり、専制国家やカースト制などの制約からも抜け出せない。
3.近世史(15~18世紀):ルネサンスと宗教改革によって封建社会を乗り越え、大航海時代に世界に進出。商業革命・科学革命などで着々と進歩→アジアはその刺激をうけたにもかかわらず自力で近代化できず眠り込む。
4.近現代史(18~20世紀):英仏を筆頭に産業革命、市民革命などによる近代国家・近代社会の建設を、自力で(それぞれの内部の発展によって)なしとげる→アジアは最初は盲目的に抵抗したため植民地になるなど苦労をしたが、やがてヨーロッパ(+アメリカ)にならって近代化の努力をする。しかし現在も、力や努力が足りないために近代化がうまくいかない国や民族がたくさんある。
  *日本でも、明治時代の文明開化論者から、第二次大戦後に一世を風靡した「大塚史学」まで、こうした歴史像を共有していた。

III 白熱教室の討論課題
1.古代・中世:産業革命などの近代化がヨーロッパでおこり、それによってヨーロッパが世界を支配したのは事実である。ではそれは、ヨーロッパが古代からすぐれていた(進んでいた)ことを意味するか?
  (関連問題)ヨーロッパがギリシア・ローマの時代からアジアにない長所をもっていたという説が、かなりの程度は詭弁であることを説明せよ。
2.近世・近代:ヨーロッパがアジアを圧倒する力を手に入れたのはいつごろか。そこで決め手になったのはどんな力か(軍事力、経済力、民主主義...)。それはだれがどうやって(何のおかげで)生み出した力か。
3.近現代:ヨーロッパやアメリカが世界を支配した時代に、世界(とくにアジアやアフリカ)では何がおこったのか。日本以外のアジア・アフリカで、第二次世界大戦後も工業化や近代的国家の建設がなかなか進まなかった構造的原因は何か。
(関連問題)しかし20世紀末に「東アジアの奇跡」と呼ばれる韓国・台湾やASEAN諸国・中国などの急成長(最近はインドも)が実現した。その発展には欧米と違ったどんな特徴があるか。日本の発展とはどこが同じでどこが違うか。それらの特徴の歴史的・社会的背景はなにか。
4.現在と未来:21世紀の世界は欧米中心に動きつづけるか、それとも... そこで目ざされる価値観はすべて欧米が生み出したものか?
*以上の課題について、おもに「サンデル教授方式」で討論をします。皆さん、考えて(調べて)きて活発に発言してください。
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プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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