コラム「ベトナム歴史学者の竹島論」

昨日の毎日新聞経済面に大武健一郎氏が書いている。

西郷隆盛の征韓論や日本の竹島占領はロシアの南下対策だったのではないか、第二次大戦後の韓国による竹島(独島)支配は、アメリカがソ連の南下を防ぐために容認した(日本に対しては軍を解体したため代わりに)、という解釈をベトナムの歴史学者から聞いたそうだ。

ベトナム人は中国がなにより嫌いでロシアも好きでないのと、弱肉強食の世界はけっこう当たり前だと思っているから、こういう日本のナショナリストが喜ぶ発言がよく出る。それ自体は必ずしも歓迎できない。

それはともかく、大武氏のコラムの後半は傾聴に値する。いわく
「ベトナムは古来、中国との対立で南シナ海や東シナ海に強い関心を持ち、その歴史を研究している。日本は江戸時代までは中国、韓国との、明治以降は欧米との関係に関心をとられていて、東南アジアの国々との関係や歴史はあまり研究されてこなかったように思う」
「しかし、アジアとの結びつきを強めている今日、わが国もアジアの国々との関係や歴史にもっと関心を持つべきだと思う。そして、東南アジア諸国に、この歴史学者のような認識があることを知る必要がある。そのことが、日韓両国に横たわる問題についての理解を深め、新たな日韓関係作りにも役立つことになる」

最後の部分は正当な指摘である。それに気づいた韓国側では、(もともとのレベルは日本よりずっと低かったが)東南アジアの研究を猛然と進めている。
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No title

東南アジアの部分の授業の際、授業の最初に2007年の阪大で出題された「高校生と先輩大学生の会話」を最初に読ませています。ちょうど同じ年のセンター試験に、アンコール=ワットをテーマにしたリード文が出ていたのでよく覚えています。ずいぶん前の話ですが、新潟大学の二次試験に『変わる東南アジア史像』が使われ、高校現場でも少し東南アジアに関する関心が高まるかと思ったのですが状況はあまりかわらないようですね。私自身「覚えにくい東南アジア史は、中国王朝との関わりで整理するとよい」といったことを、つい言ってしまいます。

Re: No title

> 東南アジアの部分の授業の際、授業の最初に2007年の阪大で出題された「高校生と先輩大学生の会話」を最初に読ませています。ちょうど同じ年のセンター試験に、アンコール=ワットをテーマにしたリード文が出ていたのでよく覚えています。ずいぶん前の話ですが、新潟大学の二次試験に『変わる東南アジア史像』が使われ、高校現場でも少し東南アジアに関する関心が高まるかと思ったのですが状況はあまりかわらないようですね。私自身「覚えにくい東南アジア史は、中国王朝との関わりで整理するとよい」といったことを、つい言ってしまいます。
中国王朝との関わりで整理するのは全然おかしくありません。そこに日本との関連づけも入れていただければ文句なしですから、2007年の出題を使っていただけるのはとても有り難いです。
私の方は、最近呼んでいただいた岐阜、栃木、宮城などの地歴科(社会科)研究会の講演や北海道の学会では、「普通の教員が東南アジア史を教える気になる方法」「東北地方でわざわざ東南アジア史を学ぶ意味を明示できる歴史学と歴史教育は可能か?」など挑発的な題で話をさせていただいています。中身は構図の提示や間違いやすい点の注意、日本との関連づけなど毎度の内容なのですが、人物エピソードなど「小ネタ」も少しずつ増やしていきたいと考えています。

No title

2007年のセンター試験のリード文というのが、アンコールワットの森本右近太夫一房お落書きの話で、まさに「日本との関係や共通性」という感じでした。ありがたいことに森本右近太夫は熊本出身でしたので、一緒に使っています。
プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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