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歴史理論の専門家

日本の大学に歴史理論や史学史の専門家がいないのはおかしいという話はあちこちで書かれているが、
その理由に迫った研究書を初めて読んだ(もっと前に読むべきだったのだが)。
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結論は平凡と言えば平凡なのだが、東アジアの歴史はもともと規範としての歴史であり(東アジアでは規範を与える絶対神は存在しない)、日本の場合そのモデルは中国という外部から来た。明治以後はそれが西洋のモデルに代わったが、以前として自前で歴史理論を考える必要はなかったということだ。ただし西洋モデルの先端を受容できた背景には「正史」を編纂しても原史料を捨ててしまわないような日本の独自性とともに中国式の考証学の高度な展開があったし、欧米にない「東洋史学」のような学問分野ができた背景にも中国的歴史学の遺産があった。

ちなみに史学史の専門家が存在しない日本の大学の仕組みを直接規定しているのは、欧米で必ずある歴史学部が存在しないことだ、という指摘にはなるほどと思った。医学部があれば医学史、理学部には科学史が必要とされた(最近「いらない」という風潮が強まっているようだが)。それならたしかに、歴史学部があれば史学史の講座ないし教員ポストが必須だ。

その他、この本にはわれわれが当たり前だと思っているが実は当たり前ではない、ということがたくさん書いてある。それはあとがきによると、筆者が学部は経済、修士は哲学、博士課程ではじめて西洋史という学歴をもつこと(その間に漢文と中国史学史、日本史学史などももしっかり勉強している)、大学教員としても日本の大学(山梨大学)に所属しながら研究発表はもっぱら欧米でしてきた(本書は海外での既発表論文を日本語に編訳したものである!)という経歴によるようだ。
貨幣史の黒田明伸氏などもある時期以降はそうしているが、海外の大学に所属する日本人はいざ知らず、国内の大学に所属しながらこういう活動をしている人は貴重だろう。若手研究者に読ませたい本だ。

同じ著者の一般向けの山川リブレットも、ヨーロッパの紀年法の変化などとても面白い。
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プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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