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廃業宣言

「ベトナムなんでも紹介業」のことです。

ベトナムをなんとかもっと知らせたいという思いと、生まれつきの知ったかぶりでベトナムについての何でも屋をしてきたが、さすがにしんどくなってきた。今や私の知らないことだらけだし、各分野の若い専門家が育ってきた。

このブログでカテゴリー「ベトナム」の記事が少ないのも、ひとつの理由は私のベトナムとのつきあいが、若い世代に比べて相対的に薄れてきたこと、もうひとつは、すでに「ベトナム入門」的な記事をずいぶん書いたことによる。後者については、この画面右側のリンクボタンを押して、「ダオチーラン先生のベトナム雑学講座」をご覧いただきたい(日越友好協会大阪府連合会のHP内に、ほかにも「本のページ」「食べるベトナム語」など私が書いた記事が載っているコーナーがいくつかあります。探してみてください)。

そこにはたとえば、
 -「ベトナム」と「ヴェトナム」、どちらのカタカナがよいか?
 -ベトナム人の姓名はどんな構造をもつか、ベトナム人を呼ぶ際は姓名のどの部分を呼ぶか?
 -ベトナム人は日本語のどんなところに苦労するか?
 -ベトナムの国土はいくつの地方に分かれているか?
 -ベトナム人の食習慣で注意が必要なのはどんな点か?
などなどお役立ち記事も載っています。外大以外の学生や企業・官庁の方がベトナムについて初歩的に調べてレポートを書くのにも使えるはずです。


(ここからいつもの憎まれ口)
自治体の市民講座やカルチャーセンター、高校教員の研修会などでずいぶんベトナムについてしゃべってきたが、専門のベトナム前近代史について話してくれ、というかたちで依頼をうけたことは一度もない。「ベトナムについて何か(何でもいいから)話してください」か、ベトナム戦争や現代ベトナム事情のどちらかである。中国の唐代や宋代の専門家をつかまえて、中国革命や現代の民族問題について講演を頼むことがあるだろうか?
 
日越友好協会の会員さんなども「大学教授なのだからベトナムについてあらゆることを知っているだろう」と思っている方が多いのだが、それは私の所属を誤解している。私が今でも外大のベトナム語コースの教員だったら、何でも屋を続ける義務があるが、最近20年間の私の職務は、ベトナム史を含むアジア史・世界史を教えることであって、ベトナムについて歴史以外も教えることではない。

ちなみに日本町のあったホイアンや、タンロン(ハノイ)1000年祭などを通じて、前近代史に興味をもつ会員さんが出てきて有り難いのだが、「どうして今までこういうことを教えてくれなかった」「勉強したくても本がない」といった問いはかんべんしていただきたい。われわれはずいぶん書いて、出版したりHPに載せたりしてきた。「朝日新聞やNHKに出ないものは存在しないものだ」という思考回路の持ち主にはそれが見えない。われわれの側でこれ以上できるとしたら、大学の授業を休んででも「押し売り」の講演会を組織するか、会員に知識テストをするぐらいしか考えられない(後者は「ベトナム検定」が発足したが)。
 
プロの学会ですら、さすがにベトナム戦争について発表しろとは言わないが、「前近代ならなんでもいいだろう」とばかりに、私の専門とはずいぶん違った時代やテーマについて、発表や論文執筆を頼んでくることが決して少なくはない。

そういう「ベトナムならなんでも」とか「ベトナム戦争限定」の講演や発表をいくらしても、受け手の側のベトナム認識が具体的なレベルで一段深まることはあまり期待できない。
ひどいたとえで恐縮だが、将来ベトナムで原発事故が起こったら、それが細長いベトナムのどの地域でおこったか理解せずに、ベトナムの生産物の輸入をすべてやめてしまう、そういうレベルから脱却できないだろう(私の講演の下手さを棚に上げての発言ではあるのだが)。また、「(年配の)日本人はどうしてベトナム戦争の話しかしないのですか」という、ベトナムで日本語を学ぶ学生の疑問が解消する日はこないだろう。

先日の古田教授の講演によれば、ベトナムは「発展途上国」から「中進国」の段階に入ったが、今まで通りのやり方ではいずれ行き詰まり、「先進国」にはなれない。同様に日本人のベトナム認識も、このままでは「中レベルの下」止まりで、「上級」には永遠に進めないということである。

日本人一般が、欧米主要国や中国についてするのと同じほど詳しくベトナムについて勉強することは、そもそも無理だろう。時間が無限になければ、そんなことは不可能である。問題は、日本全国どこでも「ベトナム戦争、アオザイに生春巻き」というワンパターンの金太郎飴的な認識、要するに「フジヤマ、ゲイシャ」という日本認識と同じものしか存在しないことである。

学界でもビジネス界でもNPOの世界でも、「ベトナムのプロ」はそれなりに増加しレベルも上がった。だが「それ以外の人々のベトナム認識」は、深さの点でベトナム戦争中と大差ない。どうして「専門は別だがベトナムのことを体系的に理解している人」が滅多に現れないのだろう。私が批判しているのはそこである。

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プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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