「世界史との対話」中・下

長野の小川幸司先生の「世界史との対話」の中・下が一挙に出た。
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中・下それぞれに「あとがき」があり、どちらも読ませる。
中では小川先生の恩師にあたる遅塚忠躬先生の「史学概論」を引きながら、小川流の世界史の知の三層構造(事実の提示-論理の読み取り-歴史批評)についてあらためて説明される。

下のほうで特に感心したのは(p.478)、
「大学で学ぶ歴史学は、何より一次史料を読み解くことがもとめられ。他人の研究成果を広く収集して総合するたぐいの執筆姿勢は、”糊とハサミからできた文章”にすぎないと批判される。本書などはその典型例ということになるかもしれない。けれども敢えて言うのだが、「世界史」という学問は、”糊とハサミからできた文章”をいかにうまく書くかということに尽きる。そのさい私たちが格闘する対象は、一次史料というよりも「現在」という時代そのものである。その知的営為は、万人が行いうるものであるし、大学の歴史学と相互補完的な関係に立つものである。”糊とハサミからできた文章”と”一次史料からできた文章”のあいだには、優劣などはない、と私は考えている」
というくだりである。

「大学の歴史学」も、一次史料による研究を必須の前提条件としたうえでだが、それと「二次文献にもとづく世界史論」とに優劣のない状況にもっていかねばならない。

それにしても、日本のあちこちに、すごい高校の先生がいる。
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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