スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「東海」とはどこか?

日中・日韓の摩擦がひどくなっており、心配である。
こうなると日本のマスコミや政治家は、南シナ海の紛争など忘れてしまうが、中国政府は南シナ海と東シナ海と両方を考えている。「相手の論理」を理解したかったら、日本側も南シナ海紛争の勉強をすることだ。

それに関連して3件書いておきたい。
・紛争対象地を当事者がそれぞれ違った名前で呼んでいる場合、日本のマスコミや政府が片方の呼称で呼べばそれはそちらの味方をしているととられかねない。自国がからんでいる紛争ではそうもいかないかもしれないが、南シナ海で争われている島々を「西沙諸島」「南沙諸島」と呼ぶのは、それだけで中国の味方をしているように、「ベトナム派」の私などには感じられる。これは「ホアンサー諸島」「チュオンサー諸島」というベトナム名で呼べなどと言っているのではない。対立しているところを中立的に呼ぶには、英語名の「パラセル諸島」「スプラトリー諸島」がいいということだ。

・ベトナムでは「南シナ海」と言わずに「東海(Biển Đông)」と呼ぶ。英語で国際社会にアピールする場合などもThe Eastern Seaと書いて、The South China Seaとは書かないのが普通である。だから、ベトナム側を応援するつもりでも(日越英語を問わず)「南シナ海問題はたいへんですね」などと言ってはいけない(言ってもどこの海のことかわからないベトナム人も多い)。もちろんこれも、ベトナムの領有権を単純に認めろという話ではない。とくにスプラトリー諸島の問題では、フィリピンやマレーシアのことも考えねばならない。

・お気づきのとおり、ベトナムの「東海」は中国の「東海(南シナ海)」とも韓国・朝鮮の「東海(日本海)」とも指すものが違う。ということは、この3国がそれぞれの海における権利を東アジア以外の世界に認めさせようと思った場合には、「東海」という呼び名ではうまくないということではないか。そういう「相手の矛盾」を知らない日本人が圧倒的に多いのは東南アジアのことを軽視して勉強しないからである。そういう「相手の矛盾」を日本人が指摘・アドバイスできないのは、日本政府も国民の多くも戦争や植民地支配の歴史と向かい合ってこなかったからである。「中国・韓国以外のアジアもきちんと学ぶこと」「アジアとの和解・相互理解を本当に実現すること」はセットになった課題である。

*すでに、「中国に対抗するため」「韓国を罵倒するため」にベトナムなど東南アジア諸国に近づこうとしている財界人やら右翼やらがいろいろいるが、そういう連中の会社や組織は、ベトナム(東南アジア)自体については馬鹿にしているだけだから、現地社会や現地語をまともに理解しようなどという気はない。「メリケン」とか「ギョエテ」のレベルでいいと思っているのだから、経営者や右翼としてレベルが低すぎる。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセス・カウンター
あなたは
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。