日本史の大きな流れの整理

「18世紀のアジアをどう教えるか」をテーマにした神奈川の研究会で、「ピンポイントの年代ばかり覚えようとして何世紀のどこそこという世紀単位での把握がひどくお粗末な高校生」のことを私が問題にして、「そんなことを言ってもセンター入試で細かい年代の問題が出ているじゃないか」などかなりの議論になった。その点でとても興味深い実践報告を、宮城の研究会で聞くことができた。

二華高校の丹野あい子先生の「外とのつながりに見る日本」がそれで、日本史A(高校では2年か3年で履修するので中学での学習内容を思い出させる必要がある)の導入部での授業だそうだ。

当日、参加した教員に同じことをやらせたのだが、参加者を2組に分ける。日本の対外関係に関して中学で習う基本事項(古代から現代まで)を抜き出して、それぞれ図版・写真のカードと関連史料のカードを1枚つくってあり、片方の組には図版のカード、もう片方の組には史料のカードを渡す(原則1人1枚だが人数が合わなければ1人2枚でも可。私は図版の方で「田中角栄・周恩来とパンダの写真を組み合わせたカード」と「法隆寺の建物・仏像のカード」をもらった。それぞれ「日中国交回復」「遣隋使」の史料カードと組になる)。

カードを配り終えたら参加者は、自分のカードに対応するカードを持っている参加者を探して動き回る。全部のカードについてペアが成立したら、今度はカードを時代順に並べかえる(図版組と史料組を対面させて、全体は
2列横隊になるようにする)。この間、参加者は声を出してはいけないのがミソである。

最後に日本以外の世界での重要事項のカード(例:フランス革命)を数枚出して、いま並べたカードの間の正しい場所に置かせる。スペースが必要だが(今回の研究会は体育館でやったのでちょうどよかった)生徒はもちろん教員でも楽しくやれるゲーム形式である。

実践ではこのあとに、それぞれのペアがもっているカードの事項について、白地図を渡して歴史地図を作らせるのだそうだ。白地図は狭義の東アジアの地図、南洋まで入った地図、世界地図などを用意して、適当なものを選ばせるということ。導入にいいやり方だし、逆に受験前にこういうかたちで大きな流れの整理をさせるのも有効だろう。CSCDやリーディング大学院の授業などが目指している短時間での大きな流れの整理・把握など、世界史の授業にももちろん応用できそうだ。


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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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