30分でわかる社会主義・共産主義(その4)

公明党が「人間性社会主義」といってたなんて、だれも覚えてないだろうな。それだけ社会主義は人気があったのだ。

4.社会主義・共産主義の人気と没落
 ・1960年代ないし70年代初頭まで、先進国の労働者や知識人・学生のあいだで、また上の(1)の意味での社会主義国が成立しなかった西アジア・アフリカなどの地域も含めて、全世界で人気があった。ソ連のスターリンなどによる人権抑圧は早くから指摘されていたが、
(ア)資本主義先進国とソ連・東欧社会主義国の経済力に、まだ極端な差がついておらず、福祉・医療や教育は社会主義国のほうが発達していると主張できた、
(イ)中国や新左翼など「ソ連の欠点を克服した新しい社会主義・共産主義の建設」を主張するものがつぎつぎ現れた、
(ウ)どの社会主義国も、資本主義による利潤追求こそ植民地支配や戦争の根源という考えから、植民地独立運動や新興国の国家建設を熱心に支援した(逆に「自由の国」アメリカは、西欧諸国との同盟政策や冷戦戦略のため、植民地独立を邪魔したり独裁政権を支持することが少なくなかった。最大の例はベトナム)
などの理由で、社会主義・共産主義は高い人気をえていた。その影響下で、先進資本主義国の社会民主主義系ではなく資本主義を全面肯定する政権も、一定の福祉国家的政策をとらざるをえなかった。
 ・1980年代以降に衰退。理由は:
(a)「流通」「消費」「市場」の力を軽視したこと、冷戦下の軍拡競争を含めて国家単位の発展にこだわったことなどのために、グローバル化やIT化・情報化に対応できずに資本主義先進国とくらべて経済が停滞(→けっきょく福祉・医療や教育も後退)、
(b)しかも「ブルジョワ民主主義」よりひどい人権抑圧や官僚支配を蔓延させたソ連の解体。「ソ連の欠点を克服した社会主義」の夢をのせた中国の文化大革命や新左翼の運動の悲惨な結末(どの国・勢力も共通した「自分たちが絶対正しい」という独善性)。社会主義=平和勢力という信頼を裏切ったソ連のアフガニスタン侵攻や中越戦争
(c)とどめを刺したのは韓国・台湾などアジアの開発独裁国家の成功。「新興国は資本主義路線を取ったら“新植民地主義”の餌食になるだけだが、社会主義路線を取れば短期間で資本主義を経ない発展が可能だ」という毛沢東流の理屈が破綻して、新興国が社会主義離れをおこしただけでなく、一部ではソ連・東欧より生活水準が高く民主化や福祉・教育も進んでしまった。
(d)先進資本主義国でも、社会民主主義的またはケインズ主義的な「大きな政府による福祉国家路線」が経済停滞、財政赤字の拡大などで行き詰まり、市場原理主義を信奉する「新自由主義」がひろがって、社会主義・共産主義への親近感が失われた。
「資本主義批判」としての社会主義・共産主義はその後も意味を失ってはいないが[例:アメリカ中心のグローバル化の弊害が顕在化した21世紀に、「蟹工船現象」やラテンアメリカにおける左翼政権ブームがおこっている]、資本主義に対するオルターナティブ(代案)の提示・実践という意味での社会主義・共産主義は現在は闇の中[生産財の国有化・公有化や市場経済の廃止は、もはや社会主義・共産主義の指標にならない。なにをしたら「資本主義より平等で、生存や自由が保障された平和な社会」という積極的な意味での「社会主義社会」が作れるのか、だれにもわからない状況]
(続く)
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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