ベトナム史の研究書

この春、西村昌也氏の著書『ベトナムの考古・古代学』(同成社)が出た。
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「考古・古代学」と言っても李陳時代はおろか黎朝期についても豊富な内容を含む。西村氏のハノイ留学の推薦状を書いてからほとんど20年になるが、あれからベトナムに住みつき(途中からは夫婦で)、くまなく遺跡を歩き回ったその努力・執念に敬服する。

努力・執念と言えば、八尾隆生氏の『黎初ヴェトナムの政治と社会』(広島大学出版会、2009年)も劣らない。タインホアの田舎で、まっ昼間の陽光のもとで野ざらしの碑文を黙々と筆者しつづける八尾氏の姿が忘れられない。
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私の本も2月末に出ている。P1020960.jpg
ベトナム史研究の深さでこの二人にはとうていかなわないが、「実にたくさんのことを書いた変わった本」ではあると思う。いずれにしてもこの3冊は、それぞれの著者の性格がよく出た、三者三様の書物だと感じる。

ベトナム前近代史の研究書が丸2年にならない期間で3冊出たのは、87年に桜井由躬雄『ベトナム村落の形成』と片倉穣『ベトナム前近代法の基礎的研究』が出て以来の、ちょっとした快挙ではないか。3冊まとまれば、東南アジア史研究の深刻な低迷を打破することにも、けっこう貢献できそうな気がする。こういうことを可能にしてくれたベトナムのドイモイ(その下でのベトナム人研究者の熱心な指導・協力)と日本の恩師・仲間たちに、深く感謝しなければならない。
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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