「女性の地位」を論じる難しさ

土曜日の歴史教育研究会の話題でもう1件。
4月・6月の月例会での「概論」部分でも取り上げた話なのだが、今回も出た。
たとえば古代・中世にどの多くの社会で女性が財産権や離婚請求権をもっていたといっても、離婚は夫が妻を捨てる方が多い。浮気をするのは多くの場合男である。
女性が政治権力を振るいえたといっても、王様や宰相はほとんど男性である。
近代的な意味での「男女平等」とか「女権の強さ」を安易に想定してはいけない。

ではそういう女性の地位や権利を教えることは無用ないし家父長制の実態をおおいかくす偽善か?
マスコミや教育をいまでも支配している「原始共産制下の母権社会」「古代以降は完全な男尊女卑」といったステレオタイプを訂正することは、やはり大事だと思われる。なかんずく現代の伝統回帰論者が主張する「家」「宗族」などの「伝統」が中世に創出され近世に普及したものにすぎないことを教える点である。

その先へ進むには、地域や階層などによる差異、「女性(男性)一般」でなく妻、母、娘(夫、父、息子)などそれぞれの立場、構造とそこからはみ出すものとのせめぎ合いなどに着目する必要があるのはもちろんである。
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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