教養教育と専門教育

大学出版部(出版会)の連合体の雑誌をもらった。

同僚の小林傳司さんが「21世紀教養教育の行方」を書いており、特に参考になる点が2つある。
(1)専門教育の前に教養教育を受けるという順番に、教育上の必然性はないこと。
中等教育が「六年間で終わらなくなっている」現状への対応として、大学で(学部レベルと、一部は大学院レベルでも)「専門教育」以外/以前のことをいろいろやらねばならなくなっているのは事実であるが、それは「いったん専門課程に進んだら(低レベルな??)教養教育など二度と必要ない」という偏見は、いいかげんになくしたい。「専門課程で、専門の学力もじゅうぶんつかないのにそのうえ高度教養教育などに無駄な時間を使っている暇はない」という固定観念も、「中途半端で現場では使い物にならない”専門”能力だけ」しかもたない卒業生を大量に生み出している現状を肯定する論拠にはならない。

(2)大学・大学院で「専門を学びつつ」身につけるべき教養は
①自分が学んでいる専門分野の内容を専門外の人に的確に伝えることができること
②自分が学んでいる専門分野の社会的・公共的意義について考え、理解できること
③自分が学んでいる専門分野の特性とその限界を理解し、他の専門分野との関係を理解できること
の3点によって方向付けられるべきだということ。
人文学は「虚学」だという前提から出発した狭く古い議論しか出来ない学者や学生に、こういうことを考えさせねばならない。

山上浩二郎「熟柿化する大学はどこに向かうのか」も面白かった。「熟柿」はもはやあらたな栄養の取り込みができず、そのうち「腐った柿」になる。


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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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