有能な日本女性の海外流出

2,3日前の毎日新聞に、山田昌弘中央大教授の「海外に可能性見る女性たち」という記事が出ていた。
社会保障などの記事でよく見る山田教授に、海外、とくにアジアで働き結婚している日本女性のことを調べた著書(開内文乃氏との共著『絶食系男子となでしこ姫』東洋経済新報社)があるというのを、この記事で知った。

山田教授が言うのは、有能な女性が働きにくい日本、働きやすいアジアの違いである。
日本は新卒一括採用と年功序列(留学や結婚・出産などでそのコースから離れると就職・再就職しにくい)、正社員の長時間労働の当然視(正社員同士の共働きでは--非正規労働者同士と同様に--出産・子育てが困難)などの問題があまりに大きい。
「管理職になっても長時間労働はほとんどない。ベビーシッターは雇いやすく、家族・親戚も協力的」、こういう日本とは正反対な場所が、アジアにはたくさんあるそうだ(全部がそうでないのは、東アジア全域で進む少子化などから推測されるが)。

大学の史学系・人文系も、偉そうなことは言えない。国立シンガポール大学に客員研究員で滞在したとき、「日本から来るのはなぜ女性が圧倒的に多いのか」と聞かれた。

今週土曜日の歴史教育研究会月例会は、
猪原達生(大阪大学大学院文学研究科博士後期課程)
「中国・朝鮮のジェンダー―近世の宗族と女性を中心に―」
コメント:青木敦(青山学院大学・教授)、豊島悠果(神田外語大学・講師)

ここで、ヨーロッパ式の育児・老人介護の社会化には日本と比べて特に積極的でなく、男女平等が完全に実現したともいいがたい中国的社会で、なぜ子供のいる女性が働けるのか、その理由の一部が示されるはずである。

それにしても、中国や中華世界に関する教育は(たくさんの固有名詞にもかかわらず)あまりに貧弱である。
「中国人(漢民族)が昔から夫婦別姓なのはなぜか」
どれだけの歴史や地理の先生が説明できるだろうか。

「中国女性といえば纏足しか思い出さない」という、「日本女性イコール芸者ガール」と大差ない認識水準は、いますぐ卒業したい。
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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