メディア技法と表現リテラシー

CSCDの入門的な授業で(アラカルトでの履修でなく、修了証が出る「高度副プログラム」を履修する場合は、これを最初に履修することになっている)、隔週2コマずつのリレー授業である。

昨年度は「プロ野球の歴史についてグループ発表をさせる」というのをやったが(親会社の業種の変遷、マンガやアニメの変遷、海外との関係の変化、用具や技術の発展など、どれも面白かった)、今期は以下の課題をグループで討議・発表してもらった。

1.歴史学・歴史教育の意義や有用性、科学性を否定する。
2.同じことを肯定する。
3.こうした議論を応用する。
(1)他の学問(自分の専門でないもの)を1つ選んで否定・肯定する。
(2)自分の専攻にとって歴史の知識や歴史的な考え方がどう役立ちうるか考える。
4.近い過去を考える。
(1)1960年代の日本や世界でどんなことがあったか、調べて説明する。
(2)現在ふつうに存在するものや事象で、それより後に登場・成立したものはなにか考える。
5.ホーチミンのベトナム民主共和国独立宣言(の和訳)を読んで、以下の点でなにが読みとれるか考える。
(1)植民地支配を正当化する論理と支配を永続化させる方法。
(2)独立運動側がつけ込むスキと、独立を安定させるのに必要な条件。

この授業は同じ週に豊中キャンパス(火曜6/7限)と吹田キャンパス(木曜6・7限)でそれぞれやることになっているのだが、今期は登録者数がアンバランスで、今週の私の担当回の出席者も、豊中12人、吹田23人とずいぶん人数がちがったが、どちらも鋭いツッコミや面白い意見が出た。5の「史料問題」も、それぞれ要点をとらえた答えが出ていた。歴史学不要論と有用論の対立点をさらに詰めるようなことは、時間の都合もありやらなかったが、歴史学や地歴科教育法などのゼミでこういう議論をする機会があったら有益ではないか(私のように下品な表現はしないが、遅塚忠躬先生の史学概論には1・2に関連する解説がたっぷり書かれている)。

ちなみに他の学問を選んで評価させる3-(2)の課題では、「古典文学」が「役に立たない」とするグループが多かった。政治学・経済学(どちらも現在の困難を解決できてない)、数学(役に立たない)などの意見も出たが、数学が理系諸学の基礎を提供しているという正当な意見も出た。
「数学は中学・高校で基礎を学ぶことは意味があるが、多数の大学で専攻を置いて研究する必要はないのではないか」「情報科学研究科で「情報数学」をやっているように、各分野が自分の必要な範囲を数学を扱うことができるから、一般的な理学研究科の数学専攻はいらないのではないか」など、「数学」を「歴史」に置きかえても議論が成り立ちそうな意見も出た。

1~3のような議論は、他分野と予算やポストの取り合いを含めた「ケンカ」をする場合、組織再編を設計する場合、他分野と共同研究をしたり他分野の方法を自分の研究に応用する場合など、いろいろなケースで役に立つだろう。中学・高校の進路指導教員にも有用なはずだ。また4は親や上司とのつき合いから日本や世界の進路の判断まで、大小さまざまな問題を考える材料になる。5も新自由主義時代の大国と弱小国、経営者と労働者や政府と国民などの関係におきかえられるケースがままあることは、言うまでもないだろう。

こういうことを考えさせたり議論させるためにも、まず基礎知識を教えねば、という先生がよくいるが、そのために基礎知識を暗記させる必要はないだろう。そこに教科書や事典、携帯やパソコンがあれば、議論はできる。
ちなみに、ハンガリーの留学生が出席していたが、やはり歴史の試験というのは、あるできごとの因果関係や意義・影響を書くような、長文の論述問題だそうだ。

帰りのモノレールの中で、TAのNさんから、理系の院生と文系の院生でどう反応が違うかという質問が出た。
理系院生は知識は少ない場合もあるが、議論の条件をうまくこちらが設定すると、論理的で一般性のある答えを的確に出す。学問の方法とか効用といった議論に(少なくともCSCD科目に来るような院生は)慣れていることもあるだろう。
文系院生は逆で、個別性・具体性で勝負するせいか、端的で明快な説明や答えの好きな私をいらいらさせることがよくある。また、質問とかみ合わない答えをすることが多い。東洋史の合同演習で私にいじめられるのも、大半はそのパターンである。博士後期課程ぐらいになると、博識に論理性や語りの魅力が加わってくるケースが少なくないのだが、そこまで行くのに時間がかかる。

帰宅してネットにつなぐと、マリーンズは今夜も勝利。前半は拙攻合戦だったようだが、終わってみれば大差の勝利。今夜は清田育宏が先制打で、3・4番の井口とサブローも珍しく揃って打点をあげた。
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CSCDの入門的な授業で(アラカルトでの履修でなく、修了証が出る「高度副プログラム」を履修する場合は、これを最初に履修することになっている)、隔週2コマずつのリレー授業である。昨年度は「プロ野球の歴史についてグループ発表をさせる」というのをやったが(親会社...

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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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