東北の私鉄

カナダから帰ってからばたばたしていて、危うく「鉄道ジャーナル」を買いそびれるところだった。
思い出して生協に走ると、「鉄道ピクトリアル」で東北の私鉄の特集をしているので、これも購入。
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学生・院生のころに仙台市電を含めてひととおり乗ったのだが、長らく東北を訪問する機会がない。
止まらない過疎化とマイカー増加で、いよいろ苦しい路線が多いようだ。そこに震災が追い打ちをかけた。

写真などの趣味的なページは別として、今回の巻頭記事も「ローカル私鉄は維持できるか」(宇都宮浄人・関西大学教授)である。
それを読めば、ローカル鉄道に路面電車と同様の問題があることがわかる。
・自家用車を運転できない人をどうするか(これからどんどん増える)。
・バスではだめなのか。
・鉄道の持つ外部経済効果をどう評価するか(渋滞による時間損失、二酸化炭素排出、交通事故などがもたらす社会全体の費用増を防げる)。
・鉄道と道路の費用構造の違い(道路は税金で作られるが鉄道インフラは基本的に自前で造らされてきた)をどう評価するか。
などを総合して本当に必要かどうか考えよ、という主張は路面電車のケースにも当てはまる。

ただし、路面電車がLRT化し郊外路線と相互乗り入れする、都心部でマイカー乗り入れ規制をする(欧米ではその代償に、郊外の駅に大きな駐車場を造ってそこでLRTに乗り継げば駐車料無料などとする例が多い)や運賃負担軽減策をとる(これも欧米では、一定ゾーン内は均一料金でLRTの他路線はもちろんバスや地下鉄と乗り継いでも新たな負担はなしというのが普通で、都心部は無料という場所もある--カードの普及で、これらの方法が容易になったことは言うまでもないだろう。日本でバスから地下鉄への乗り継ぎにちょっと割引をするだけのやり方はセコすぎる)などを組み合わせれば、かつての路面電車より大幅に便利にできるのに対し、ローカル私鉄は利便性アップの方法が限られていることだろう。逆に、マイカー・バスのマイナス面などは、大都市に比べて見えにくい。

それでも、宇都宮氏が指摘するように、1年間に1500億円という自動車重量税の減税が政策的に決められるなら、その額を政策的に投入して、数十社のローカル私鉄のインフラを抜本的に改良することもできるだろう。それによる速度・安全性の向上やLRT化、都市の中心部やJR路線への乗り入れ、それを土台とした地元本位のダイヤの改善や観光客誘致など、できることはいろいろあるはずだ。そして、今までも自治体がおこなってきた不十分な赤字補助の代わりに、「上下分離」による「公設民営」をすればよい。福井県の「えちぜん鉄道」(旧京福電鉄)がすでにその道に踏み出している。
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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