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Journal of Southeast Asian Studies最新号

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英語圏の東南アジア研究の代表的な学術誌で、現在は国立シンガポール大学で編集している。

今号にはリーバーマンの本の書評を、シンガポール大のPrasenjit Duara教授(満洲国の研究で知られた人)が書いている。歴史社会学者として、「厚すぎる」「近世の関係史が抜け落ちている」など、なかなか手厳しい。しかし「東南アジアを基準に世界を論じる」というリーバーマンの姿勢がヨーロッパに向けられたところは賞賛しながら、自分のフィールドである中国に向けられたところは(ムキになって?)批判するという点、「やっぱり」という感じもある。

別の書評が面白かった。Peter Borschberg, Hugo Grotius, the Portuguese and free trade in the East Indies (Singapore: NUS Press, 2011)という本の書評(by Anthony Disney)で、それによれば、かのグロティウスの「海洋の自由」を含む著作De Iure Praedaeとは、オランダ東インド会社(VOC)がジョホール川の河口でポルトガル船サンタ・カタリナ号を拿捕した事件を正当化するために、会社がアジア市場にアクセスする自然権を侵しているポルトガル船を攻撃するのは、海賊ではなく正当な行為だと主張する目的で書かれたのだそうだ。
本書の著者がレイデン大学所蔵のグロティウスのノートや手稿を調べたところ、かれはほとんど自分でオランダやポルトガルの資料を調べることなく、ラテンアメリカについて書いた若干のスペイン語資料だけを使って論を立てたもので、マレーや東南アジアのことなどほとんど知らなかったのだそうだ。

*初期のVOCが日本近海でポルトガルを追い落とすために海賊行為をさんざん働いたことは、日本対外関係史の研究ではよく知られている。
**東南アジア史の概説にはよく出てくる話なのだが、インドネシア海域で独占的な地位を確保したVOCは、各地の国王につぎつぎ貿易独占権を認めさせる。インドネシア東部海域に強大な力をもっていたスラウェシ島のマカッサル王は、オランダに敗北して航海権を奪われた際に、「神は陸と海を創りたもうた。陸は人に分け与え、海は共有にしたもうた。だれかが航海を禁じられるというようなことは、絶えて聞かれない話である」と批判した。「自分に都合のいい部分だけの自由主義」というのは、そのころから現在まで一貫している。

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プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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