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いい教員、いい指導

「伸びる学生、伸びない学生」などと書いたが、西本幸雄、広岡達朗などの指導者が示しているのは、指導法の問題である。東大・京大のように「最初から教授より賢い学生」はまずいない阪大で、学界をリードする若手研究者が出るのも、指導の方法やしくみに負うところが大きいだろう。「伸びる学生」の話をするまえに、指導する側についてひとこと書いておきたい。

昨日、教養教育に関する会議で、学生を集めて教養課程の授業の履修者数とシラバスの良し悪しの相関を分析させたプロジェクトの成果報告が、参加学生の発言もふくめておこなわれた。シラバスの評価ポイントとして「わかりやすさ」「教員の情熱や独自性」などを強調する点には異論もでたが、「学生の立場で、授業の目標をはっきりさせる」ことは、ある意味で当然だろう。

この点で、人文系、とくに学部専門課程は遅れていると言わざるをえない。
「世界史、日本史、地理を全員が同じように暗記してきた」ことに象徴されるかつての初・中等教育のしくみであれば、それを前提として、大学では「自分の問題意識に従って自由に学べ」「これこれを身につけろ、と上から画一的に注入するやり方は人文系になじまない」などと言っておればよかったが、今はそんな初・中等教育は存在しない。

であれば、嫌だろうがなんだろうが、大学で、「2回生はこれこれ」「3回生でこれこれ」と学年・学期ごとに標準的な目標を定め(もちろん全員同じとはいかないが)、個々の授業でもそれにあった知識・スキルを身につけさせるような設定を、公式かつ制度的ににおこなうべきだろう(「個々に」「経験的に」「事実上」それをやっている先生はいるだろうが)。シラバスの書き方にとどまらず、授業そのものの組み立てを変える必要があるということだ。

それをしないままで、しかも大学院の方では研究者養成あるのみなどという古い古いイメージの院入試や大学院教育を続けていたら、不景気でなくても大学院の志願者は減るに決まっている。私自身の学部の授業がうまく実施できているかどうか自信はないが、再三紹介しているように、阪大東洋史や史学系の学部教育の仕組みは、多くの部分で先進的である。

関連して、理工系ではこのバカ高い授業料のもとでも、8割とかの阪大生が大学院に進学する(その多くが修士終了後に企業に就職する)。それだけ大学に投資する意味が認められているということだろうが、人文系でも学問や対象とする世界が複雑化していることもあり、学部教育をいくらシステマティックにしても、全員が学部4年間だけで目ざす能力を身につけられるとは限らない。むしろ、修士までの6年間で標準的な能力を身につけるぐらいの仕組みが一般化するとよいのだが、それには「それだけ投資する意味がある」ということを、学生や社会・企業に納得させなければならない。

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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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