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将棋と歴史

私は頭が文系なので強くはならなかったが、高校で囲碁将棋同好会、大学で将棋部に入っていた。
*ちなみに阪大の大学院文学研究科には糸谷哲郎さんという「新人王」のタイトルもとったプロ棋士がいて、哲学を研究している。哲学と数学は近いところがあるのだろう。
**ついでに皆さんは、「将棋のプロ」はどうやって養成され、どうやってカネを稼いでいるかご存じですか?

最近は忙しいのと相手がいないのでまったく指さないが、新聞の将棋欄はいまでも毎日読む。

将棋と将棋界の歴史はいろいろ興味深い点があり(将棋を含む各種盤上遊戯を研究する「遊戯史学会」という立派な学会もある)、歴史の研究や教育にもけっこう役に立つ。

よく知られているとおり、世界中で敵から取った駒を使用できるのは日本の将棋だけである。
チェスなど外国の将棋は戦いが進んで駒を取り合うと動かせる駒が減るが、将棋はそうではないので、可能な手の数が減らない。コンピューターが人間の強豪に勝つのがチェスよりずっと遅かったのは、この将棋の特性のためだといわれる。
このような高度の独自性をもつ一方で、海外への普及は囲碁に比べて圧倒的に遅れている。
そのあたり、日本史学界とそっくりではないか。

持ち駒使用については、中世前期の武士の、裏切りは当たり前という風潮を背景に成立したルールだという俗説があるが、プロの9段になった木村義徳さん(戦前戦後の大名人木村義雄の息子さんで、早稲田の東洋史で中国古代史を研究し修士まで行った方である)は、従来の説より早く持ち駒使用は成立したものと推測している。
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将棋の歴史については木村9段以外にも、増川紘一さんや大内延介9段の著作が知られている。

海域史に関係ありそうなのが、将棋の駒に「金」将、「銀」将、「桂」馬、「香」車などお宝にかかわる名前が多いことで、これは、「象」「馬」「砲」など戦争に直接関係する駒が多いチェスやインド、中国などの将棋とは違っている。東南アジアから海上の道を経由して日本に将棋が伝来したことを意味するのではないかという説もある。

将棋界が囲碁界に比べて圧倒的に遅れている点のもうひとつは、女性への普及である。
囲碁のプロでは女性の8段がおり、低段同士なら女性が男性に勝つことは珍しくもなんともないが、将棋では里見香奈女流名人が、やっと奨励会(プロ棋士養成機関)の初段になったところだ。「将棋とジェンダー」という研究テーマが成り立つにちがいない。

全体に将棋界(プロの団体である日本将棋連盟)は、相撲協会と似て社会性が弱い面があるが、さすがに現在では、昔風の「将棋バカ」は少なくなり、かわりに社会の中で考えるとか社会に通じる言葉で将棋を語ろうという志向性をもったプロが出現している。
名人戦で挑戦権を獲得したばかりの羽生善治さんは、その一人である。
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本屋で見つけたこの本は、さらっと書いてるがけっこう面白い。
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プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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