センター入試

土曜日は京都の読書会。今回読んだのは岩波の東アジア近現代通史第1巻の飯島論文。検疫を中心に清朝後期の海関の状況を述べたもので、伝染病と衛生の問題だけでなく、「対外関係のなんでも屋」としての海関の状況がわかり興味深い。前回取り扱った村上論文の経済面からの開港場の解説などとあわせ、国民国家の常識とはちがったウエスタンインパクトへの対応ぶりがよくわかる。

終了後の飲み会は河原町今出川北詰の「かんから」へ。
(左)珍しいホッケのお造り (右)タイ式焼きそば(クイティオ・パッタイ)
P1060423珍しいホッケの刺身   P1060427タイ風焼きそば(パッタイ)

今日(日曜)の仕事の第一は、センター入試の地歴の問題を見ること。
日本史はテーマも設問も工夫されているが、知らない事項だらけでお手上げ。
ついでに見た英語も、昔は習わなかった口語表現がいっぱい。

世界史Bは、「世界史における死の文化」を扱った大問1は「頑張っている」気がするが、大問2・3は「とってつけたような」「苦し紛れの」問題が目立つ。小問18と20は下線の引き方がひどく、問いの内容はリード文となんの関係もない。

大問4は、阪大前期入試が2年続けて問題にした「言語と文字の混同」を増幅しそうな出題と感じられた。高校の先生に何度も話したことだが、「見たこともなければ使い方も知らない」ままで、チュノム(カタカナ表記はチューノムの方が適切)の名前だけを出題することは、いいかげんにやめてほしい。そもそもチューノムは、陳朝で体系化したのは事実だが、個々の文字としてはもっと早い用例があるし、陳朝でも王朝が体系化させたり使用を命じたのではない。ちなみにチューノムは散文と詩の両方に使うが、どちらにせよチューノム100%の文章というのは存在しない。チューノムは万葉仮名や国字のようなもので、漢字と混ぜて書いたり漢字に添えて意味(字訓)をあらわす。また漢字チューノム混じり文の文法は、日本漢文と同じで本来の漢文に準じたものから全く漢文法に従わないものまで、偏差が大きい。

世界史に限らず、入試でこういうひどい問題が出る背景には、点差の付く問題(みんなが高得点にはならない問題)を広い範囲から満遍なく出せという無理難題に答えて、背伸びをしすぎているという事情がある。入試がそうなっていれば、高校教育もそれに縛られる。そういう諸悪の根源であるセンター入試は、一刻も早くやめて、資格試験に切りかえるべきである。それでは私大と受験業界がものすごく困る? なに、これだけ「民間の活力」への信仰が強い国、日本の一流企業は税金や国家権力をいっさい利用せずに成長してきたなどというデマをみんなが信じていられる国ですから、きっと皆さん立派に対応なさるでしょう。

ついでに言えば、問題用紙に解答用紙に監督要領に、というあの膨大な紙のムダだけでも、センター入試を廃止する立派な理由になるだろう。

ちなみに日本の学校教育は、必要以上に難しい暗記教育をさせねばならない一方で、体育のように世界中にあるわけでない科目に時間を使うし(健康とスポーツについてはコミュニティに委ねる方法もあるのだが)、親やマスコミも、学校の評価では難関校の合格者数ばかり問題にするくせに、他方でしつけや常識の育成を学校に求める。要するに、先進国中最低レベルの教育予算でありながら、日本の学校はあれもこれもと抱え込まされ、必要以上の背伸びを強いられている。結果は多くの面が中途半端になるに決まっている。こういう根本問題を知りもせずに(目をつぶって)ただダメ教員をクビにできる仕組みをつくっても、なにも解決はしない。
関連記事
スポンサーサイト
プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセス・カウンター
あなたは
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR