FC2ブログ

歴史学の基本的説明

FBに書いたことのまとめ直し。
S倉先生ほか理系の先生向けの説明、学部生向けの史学概論の講義、連休明けの異分野の研究者の集まりで話すことなどに関連したメモである。

・私自身はあんまりいい説明だと思わないが、科学には法則定立的科学と個性記述的科学があり歴史学は後者に属するというかつての説明も、理系向けには意味があるかな。「個性記述」だから法則的説明がないのは当たり前。問題はそこで明らかにされた事実や、因果関係・意味などの説明の蓋然性や論理性である。それが意味がないとすれば、刑事裁判で被告の犯罪の「動機」を明らかにすることなども無意味になるだろう。
・科学であることを保証するのは反証ないし検証の可能性。その点で歴史学は、実験はできないが観測はできる自然科学の一部領域と共通する。「学術論文」では、どんな資料(=観測結果)をどう解釈したかが、完全に追体験可能な形で示されていなければならない。その資料の信頼度を確認するには厳密な「資料批判」の方法論がある。これは理系が知らない?人文学の常識。
・理系のみなさんも芸術の価値をすべて客観的な指標で評価しようとは思わないだろう。人の意識や意味、価値を扱う人文学にもそれと重なる部分がある。今のところ、それはAIにできない部分だと言われている。しかしGDPを基準にしようがどうしようが、それらは社会にとって研究する必要があることがらではないか。
・理系と違い人文学では、斬新な研究成果が論文でなく本の形で公表されることがよくある。またその世界へのインパクトは、被引用件数でなく何ヵ国語に訳されたかで評価されることが少なくない。とりあえず議論の前提としてこのへんは理系に共有されているだろうか。

関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセス・カウンター
あなたは
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR