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グローバルヒストリーの研究協力打ち合わせなど

先週土曜日は中の島センターでグローバルピストリーをめぐる阪大と東大との協力の話し合い。途中で抜けねばならない私の事情もあり阪大側の報告を先に並べたのだが、3人で1時間のはずが大幅超過してしゃべりまくるところがさすが大阪? (私はほぼぴったり終わったぞw)
東京側の3報告は、グローバルヒストリー研究を欧米と組んで英語でやる場合に日本側がぶつかる問題点を論じていて参考になった。結局「珍しいマイノリティの情報提供者」に終わったり、「西洋中心史観の打破を掲げて新しい世界の中心になろうとする」西洋研究者の立場を被支配者の側から強化する役割に陥る危険など。地域研究や人類学がよく議論した問題が、こういうところで出てきたのが面白かった。
上記の危険性を認識しながら協力に参加する松方冬子さんの卓抜な表現。「女性の解放を論じる男性たちの会は、それを論じない男性の会や、女性だけの会より面白い」。
最後まで聞けなかったが、佐野真由子さんの上のような危険性とそれを越える方法の整理もよかった。その一つはマイノリティの立場を経験させること。国内学界についてだが、日本史、西洋史や中国史の研究者にそういう経験をさせるべきだと私がいつも言ってるのと同じことだろう。
これについては翌朝の毎日新聞の城戸久枝さんのコラムも共通の主張をしていた。マジョリティの側にいる人々は、自分でマイノリティの世界に踏み込んで、マイノリティの立場から物事を考える経験が必要だということ。私流にひねれば、マイノリティ社会の中で自分が逆にマイノリティ扱いされる、また自分が属したはずのマジョリティから自分もまとめてマイノリティ扱いされる、両方の経験が意味をもつ。そういう経験のないマジョリティは大抵、マイノリティに対する無意識の差別に鈍感であったり、「女性の解放を語る男性」の私を含む大部分がそうであるように、偽善と自己満足の運動しかできないことになる。

で中座して、土曜夕方と日曜午前は奈良女のジェンダー史シンポ。西洋中心主義と日本一国史観の新しい本山の一つであるジェンダー史の学界で、アジアジェンダー史をどう構築するかが今回のテーマ。午前に聞けなかった河上麻由子さんの唐代までの東アジアでの支配者間の婚姻についての報告はレジュメをもらったが、散々行われてきた「和蕃公主」の研究が王権論やジェンダーなど視点を欠いたために見ようとしなかったポイントを突いているように思われる。倉沢愛子さんの研究でよく聞いた日本軍政下のジャワ島で発行されたジャワ・バルという写真誌に、日本語版とインドネシア語版があってキャプションなどが全然違うという話(インドネシアから奈良女に来た院生の報告)も面白そうだ。
実際に聞けた小浜正子さんの東アジアジェンダー史構築のための課題整理、それを含む世界のジェンダー史の時代区分の視点整理の全体討論なども有益だった。ただし「世界を論じる際に何に気を付けないとバランスを崩したり新たなバイアスを生むことになるか」については、従来の世界史やグローバルヒストリーの経験をもう少し取り入れる余地がありそうだ。たとえばどの論点についても体系的に考える際に取り上げる実例はヨーロッパ・中国・日本でなければ中東で、アフリカや東南アジアは「珍しい例外」として紹介されるに終わりそうなところ。これまで蓄積してきた「近代の問い直し」の諸論点などは逆にグローバルヒストリーの側が大いに学んで自分の議論を深めるべきところで、やはり両者の異種格闘技戦を、もっと全面的に展開しなければならない。

それにしても私は、女性に囲まれたジェンダーの会--日曜の科研メンバーだけの会では男性は私だけ--でも毎回平気でべらべらしゃべるのだが(単にタガが外れているだけか??)、グローバルヒストリーのところで書いた「マイノリティの中に入る経験をすべき人々」は、こういうところに参加するとよいのだと思われる。

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プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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