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土曜日の阪大歴教研例会

遅ればせながら土曜日の阪大歴教研月例会の件。日本西洋史学会や国際東方学者会議など重なりまくりで参加者が少なかったのがとても残念な内容。

報告1はDCの猪原君の阪大東洋史名物「合同演習」とそこでSDC院生が学部生向けに行う「入門講座」の紹介。史学会125周年記念シンポの出版(『教育が開く新しい歴史学』)でも紹介したが、通常の大学史学系ではゼミや研究会で断片的に聞きかじったものを自分の頭の中でだんだん系統化していく(それが今やできなくなっているのだが)のに任されている「東洋史学の成り立ちと現在」「漢籍とは何か」「工具書の種類と使い方」などを、院生に講義させるところにミソがある(中国史だけでは許さないなど内容が多様化しているため、担当者は力点の置き方を変えて違ったレジュメを作れる。受講学部生は3年でだいたい網羅的な内容が聞ければいい、という考え)。「阪大の」を強調するとまた羽田正さんに怒られそうだが、初めて聞いた方は「ここまでやっているのか」と驚かれたろう。日本史のI塚先生が「それだけ東洋史は危機感が強いのだろう」と言われた通りである。若手研究者に(自分のオリジナルな研究と合わせて)こういう講義がきちんとできるぐらいでないと、今日の「歴史学など役に立たない攻撃」の主要部分は撃破できないのだ。

後半は佐藤正幸先生の西洋史学に書かれた原稿などを下敷きにした講演。近代日本における西洋学術概念に対する訳語の創出とその特徴(例:「西暦」とはなんたる言葉か)、それが可能にした「日本語で大学教育が当たり前に受けられる状況」(今でも世界中で当たり前ではない)、日本の歴史学の特徴(歴史学部がないことなど)、ご自分がオンリーワンとして道を開き世界で活躍してこられた経験など、いつ聞いても面白くて院生をencourageする内容だった。

討論では漢字文化の衰退(東アジア共通)と東洋史学の今後、グローバルヒストリーの一方で中文・中哲などとの協力は遅れていないか、など色々な話題が出た。

さて、それで今日の報告でも露呈したが、第二次大戦後現在までの歴史学と東洋史学の動向のまとめがなかなかうまくできないのは、高校の先生が現代史(特に冷戦終了後)はうまく筋を付けられないのと同様だろう。ちなみに戦後歴史学とマルクス主義のところは、毎度中国史の歴研派と京都学派の時代区分論争を不正確に取り上げるが(今回も)、やるなら自分の言葉で説明できるお湯にもっと予習すること、そうでなければ中国史以外の地域に関する論争を紹介することなどを考えるべきだろう。現在の阪大中央ユーラシア史の学生諸君は、遊牧社会の時代区分論争なんてひとことも聞いたことがないかな(全く無意味だったと片付けるのは全然正しくない)。
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プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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