日本ベトナム研究者会議のご案内

日本ベトナム研究者会議では、来る5月12日(土)、
日本学術振興会科学研究費助成事業(平成27年度)
基盤研究(B)「東南アジア大陸部の被戦争社会の変容と
レジリエンス」(代表者:瀬戸裕之先生)のご協力により、
下記の要領で2018年度前期研究大会を開催する運びと
なりましたので、ご案内申し上げます。参加費は無料です。
よろしくお願いいたします。

事務局 岩月純一

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【パネル報告テーマ】
「東南アジア大陸部における被戦争社会の変容と地域住民」

【企画趣旨】
 現在,東南アジア大陸部は,冷戦終結後の和平の進展,市場経済の導入,
ASEAN地域の統合などを受けて,社会が安定し,人々の生活や社会が大きく
変化を遂げつつある。しかし,考えてみれば,インドシナ地域では,1950
年代から1990年代前半まで,インドシナ戦争,ベトナム戦争,カンボジア
紛争など長期に渡って様々な紛争が続き,ミャンマーなどでは今も内戦が
局地的に継続してきた。つまり,この地域は,長期に渡って戦争や内戦が
続き,その影響を大きく受けてきた場所であるといえる。
「東南アジア大陸部の被戦争社会の変容とレジリエンス」研究会は,東南
アジア大陸部を,戦争によってその社会形成が大きな影響を被った地域
(=被戦争社会)と位置づけ,住民へのインタビューなどオーラル・ヒス
トリーの手法を用いながら,国家レベルより下の地域・村レベルでみた
ときに,戦争・紛争が人々にどのような影響を与えたのかを考察し,さらに,
戦争中・戦争直後の人々の被害だけでなく,その後の生活・生業変化を含め
て考察することにより,戦争の影響を受けた人々の生存戦略が社会形成に
与えた影響を明らかにすることを目的に研究を行っている。
本日の報告は,1)戦時下のベトナム北部において地域住民の生存を支える
家族の役割を考察した事例,2)インドシナ戦争期におけるベトナム南部
カトリック信徒のパーソナルヒストリーから信仰を核とした戦災からの
生活再建について考察した事例,3)カンボジア・シェムリアップ州に
おける内戦後の復興の中での女性たちの生計戦略を考察した事例を考察し,
戦争の影響を受けた人々の生存戦略が社会形成に与えた影響について議論
する。

【日時および場所】
日時:2018年5月12日(土)13:00-17:00
場所:東京大学駒場キャンパス駒場国際教育研究棟(旧6号館)3階314号室
(京王井の頭線駒場東大前駅東大口下車徒歩5分。地図は下記ウェブページをご覧く
ださい)
https://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_05_j.html
使用言語:日本語

【プログラム】
13:00-13:05 会長あいさつ
13:05-13:20 趣旨説明(瀬戸裕之 新潟国際情報大学准教授)
13:20-13:50 報告1(岩井美佐紀 神田外語大学教授)
「総力戦期におけるベトナム北部地域住民の生存戦略-女性たちの経験と語りから」
13:50-14:20 報告2(大野美紀子 京都大学助教)
「マージナルな存在を生きる-ベトナム南部カトリック信徒の戦中・戦後史-」
14:20-14:30 休憩
14:30-15:00 報告3(佐藤奈穂 金城学院大学准教授)
「ポル・ポト時代後における女性たちの生計戦略-カンボジア シェムリアップ州を
事例として-」
15:00-15:15 コメント(古田元夫 東京大学名誉教授,日越大学学長)
※テレビ会議システムによる参加
15:15-16:30 質疑・応答

【研究助成】
日本学術振興会科学研究費助成事業(平成27年度)基盤研究(B)
「東南アジア大陸部の被戦争社会の変容とレジリエンス」(代表者:瀬戸裕之)

【各報告の要旨】
(1)報告1 岩井美佐紀(神田外語大学・教授)
「総力戦期におけるベトナム北部地域住民の生存戦略-女性たちの経験と語りから」

 総力戦期,ベトナム北部から南部戦線に投入された兵力の主な源泉は農村
出身の成年男子であった。従来の先行研究では,農業生産合作社(以下,
合作社)が銃後の北部農村社会を支えたという議論が一般的である。しかし,
合作社の社会保障機能だけでは,戦時の北部農村社会の実態を十分解明する
ことはできない。
 本報告は,主に銃後の農村人口の大多数を占めた女性たちの経験と語りから,
当時の地域住民の生存戦略をめぐる新たな知見を提示することを目的とする。
特に,子供や老人のケアという家族の再生産機能に着目し,彼女たちの行動
規範から生存戦略の態様を明らかにしたい。
 本研究は,ハノイから南西に100キロの距離にある,ナムディン省のバック
コック村で2015年と2016年に行ったフィールド調査に基づいている。インタ
ビュー対象は同村の65歳以上の年配女性たち(とその夫)である。

(2)報告2 大野美紀子(京都大学・助教)
「マージナルな存在を生きる-ベトナム南部カトリック信徒の戦中・戦後史-」

 インドシナ戦争期ベトナム南部では,1954年前後の北部から南部へのカトリック
教徒のエクソダス,40~50年代南部におけるホアハオ教・カオダイ教団と
フランス軍・共和国政府軍との抗争など,宗教は,単なる個人の信仰に
留まらず,当該時期の政情と密接に関係し,ときに個人の生存戦略を大きく
左右した。
 本報告では,カトリック信徒のパーソナルヒストリーをとりあげ,戦中から
戦後にかけてカトリック信徒であることが個人にどのような社会的影響を
及ぼしたか,信仰を核として自身の生活を戦災から再構築している過程個人の
レジリエンスとして考察する。

(3)報告3 佐藤奈穂(金城学院大学・准教授)
ポル・ポト時代後における女性たちの生計戦略-カンボジア シェムリアップ州を事
例として

 カンボジアでは,1970年のロン・ノルクーデターを発端に勃発した内戦と
1975年からのポル・ポト時代,その後1979年から再び続いた内戦期に多くの
男性を失くした。ポル・ポト時代以降のカンボジア内戦はゲリラ戦を主とし,
州の中心部は農村地域に比して早い段階で治安を回復した。
 本研究では,カンボジアシェムリアップ州を事例に,州の中心部とその近郊
農村の女性たちがいかにしてポル・ポト時代後の世帯および地域の復興を担って
きたのか,女性たちの生計戦略とその活発な経済活動を生み出した社会および
経済的背景を明らかにする。
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プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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