日韓・韓日歴史家会議

忙しくてFBの方に書いたきりブログに書けないでいるうちに、トランプ当選などがあって気が抜けてしまったが、いちおう書いておこう。
先週の週末は、「現代世界と歴史学」をテーマにした第16回日韓・韓日歴史家会議に都内で出席。
初日の「歴史家の誕生」は高名な歴史学者が自分の研究の道のりについて話すもので、今年は田代和生先生と金泳鎬先生。
2日目は「大学での人文学と歴史学」「歴史教育の新しい動きと歴史学」「社会とつながる歴史学」の3つのセッションがおこなわれ、3日目は総合討論。私は毎度おなじみ日本の歴史学と歴史教育の危機とその中での阪大史学の動きを、教科書『市民のための世界史』と「アジア史を正当に位置づけ自国史を完全に組み込んだ世界史」というコンセプトを中心として紹介した。ほかには現代歴史学のなしうること(どんなメタ知識やスキルを供給しうるか)、将棋や囲碁で人間を負かした人工知能の発達に対して歴史学は生き残れるか、方法としての地域史と東アジア史、博物館の役割および戦争との向き合い方、非専門家が作る(事実に反する)歴史像の力などの報告と討論がおこなわれた。
 例年と比べ、3つのセッションの議論が相互に連関しあった点で成功だったと組織委員会の偉い先生がおっしゃっていたが、私も学ぶところが多かった。飲み屋でかの李泰鎮先生や尊敬する大先輩である宮嶋博史さんと親しく話ができたのも感激。ベトナム近代史を研究している西江大学校の尹大栄さんが『市民のための世界史』はどんな(将来の)市民像を打ち出すのかと聞かれたのは、改訂版での課題としよう。

 討論の最後の方で世界が戦争や人類滅亡に向かっているのではないか、歴史学はそれを後押ししていないか、という深刻な発言も出た。トランプ当選はその懸念を裏書きするものかもしれない。少なくとも歴史家が「単に過去に起こったことを復元する知的技術者」に終わってはいけない、という郭次爕さん(釜山大)のコメントは、百万回でも繰り返さなければいけない命題だろう。
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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