ベトナムの『歴史研究』誌

国立社会科学アカデミー附属の史学院(歴史研究所)が出している月刊の権威ある学術誌。
最新号には「地域研究とグローバルスタディーズの焦点としてのベトナム:ベトナム人の東南アジア知識と新しいアプローチ」という題で、欧米の地域研究の没落とグローバルスタディーズの時代における東南アジア・ベトナムの位置に関する展望論文が載っている。著者のヴー・ドゥク・リエム氏はハノイ師範大学の先生らしい。残念ながら日本の東南アジア研究はほとんど出てこないが、ケイヒンやスメイルからギアツにジェームズ・スコット、トンチャイやリーバーマンまでかなりしっかりまとめてあって感心。欧米の視点でなく現地の視点に立った地域研究の重要性、しかしそれが国家や地域の境界線に縛られずにより多様なとらえ方を要求していることなど納得できる具議論が多く、日本の学者でもこれを読んで勉強しなければいけない人が結構いそうな気がする。

ハノイ師範大史学科はかつて、チュオン・ヒウ・クインとグエン・ドゥク・ギンという優れた土地制度史家を擁し、良質なベトナム通史も出している。最近は東南アジア史の教育の強化など、歴史学と歴史教育の枠組みを問い直す論文を、『歴史研究』『東南アジア研究』などにちょこちょこ載せている。ハノイ国家大だけでなく師範大からも目が離せないことを、あらためて感じさせられた。

ちなみに同じ号には「ジョルジュ・セデスと古代東南アジアの政治体制」「李陳時代の宰相職を論ず」といった論文も出ている。後者はしかし、「官」と「職」の関係など中国的官僚制の要点は意識していないようだ。

で、さてさてプロ野球は。ファイターズやカープのような若手の発掘・育成はどうやったらできるのだろう。
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直接会ったことはないので詳細は存じませんが、Vu Duc Liem氏はハンブルク大学への留学経験があるらしく、英語圏の動向には明るいようです。

お礼

> 直接会ったことはないので詳細は存じませんが、Vu Duc Liem氏はハンブルク大学への留学経験があるらしく、英語圏の動向には明るいようです。
ご教示ありがとうございます。最近はそういう学者が増えてきましたね。
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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