新疆のヨーロッパ人?
新疆ウイグル自治区のどこやらで「ヨーロッパ系」の住民集団(ウイグル人と別の民族アイデンティティを持つらしい)をみつけたというNHKの番組があったとか。あの辺の遺跡で見つかる紀元前のミイラも、日本のマスコミでは「ヨーロッパ系」と表現されることがよくある。要するにモンゴロイドでなくコーカソイドだということだろうが、コーカソイドはペルシア人もインドのアーリア人もみんなそうなのに、何の証拠があってわざわざ「ヨーロッパ系」とするのだろう。そう表現する人の脳がヨーロッパ崇拝に侵されているという以外の答えを、私は思いつかない。
ちなみにNHKの番組は、この人々が「ウイグル語を話している」と説明したらしいが(とすれば言葉がヨーロッパ系ということではない)、世界史をまともに勉強していれば、あのへんはもともとソグド人など「白い肌に碧眼」の「胡人」の世界だったことは常識のはずだ。いっぽう唐代のウイグル帝国の支配者はトルコ系(人種はモンゴロイド)だが、その中心はモンゴル高原にあり、今の新疆のウイグル人と強い連続性はない。むしろDNAはソグドなどの流れをくみ、文化や言語はトルコ(ウイグル)化した人々がたくさんいるはずだ。
- 関連記事
-
- 日当たりのよい研究室
- 6月初投稿
- 新疆のヨーロッパ人?
- 海域アジア史英語論文読書会
- 先行研究の疑問点?
スポンサーサイト