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古い認識の弊害

この秋は大きな失敗もしているのだが、うれしいニュースも入ってくる。
歴教研関係の事務局その他積極的に関与してくれた院生がPDとDC1でそれぞれ学術振興会の特別研究員に採用されたり、大阪府・兵庫県の教員採用試験に合格したこともそのひとつである。積み重ねると成果が出るものだ。

他方、「なかなか変わってくれない」ことがらにも出くわす。たとえば、「文学部などに進学すると就職に不利だ」という現在は正しくない観念が、まだまだ「健在」であること。

実際は、社会全体の不景気はいかんともしがたいが、その中では阪大文学部の学生は健闘している。
それは必ずしも「阪大のようないい大学だから」とは言えない。もとは文学部などを寄せ付けなかったはずの「就職に有利な」社会科学系や工学系の就職が必ずしもよくないからだ。

それらの学部ではアジアの言語を学ぼうとかアジア諸国に留学しようなどとという学生はきわめて少ない(教員世代にはそういう発想はほぼ皆無)。それに対し、外国語学部や人間科学部だけでなく文学部でも、アジア(ときにはアフリカ)のいろいろな言語や文化を研究する学生が出る。英語とコンピューターの能力が同等だったら、まともな企業はどちらの卒業生をほしがるだろうか。明らかではないか。だから、東大では文2から文学部の東洋史に進学する学生が増えている。

外国研究だけではない。現在は狭い意味の「実務能力」だけではもはや商売にならない、そういう時代だ。だから逆に、文学・芸術学だの哲学だのを学んだ学生の感性や創造力が企業に評価されることもあるだろう。

また以前は、「文学部で大学院にひとたび入ったら、もう研究者になる以外に道はない」という通念が支配的だったが、今はそうではない。修士課程まで行って専修免許を取った者が教員採用試験で優遇されるだけではない。たとえば大学院で時間をかけて中国だのベトナムだのの言葉を身につけ歴史を深く研究したような人間が、一流企業に採用されるのだ。私のゼミ生の場合は、数がひどく少ないので一般的傾向を語るには適さないが、この数年のあいだだけでも、学部卒で富士通にNHK、修士(博士前期課程)修了で新和海運にソフトバンクなど、いいところに就職した学生がいる。

高校の先生にはぜひ、こういうことも知った上で進路指導をしてほしい。

石橋界隈の植物
P1050666.jpg
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No title

自分のやってる分野を過剰なまでに売り込もうとする恐れ知らずな精神には感服するが、NHK(というかマスコミ・メディア全般)は昔から文学部などでも差別せずに採用しているし、ソフトバンクのような比較的新しい企業も学部などはとりわけ採用時点で考慮することは少ないですよ。文学部なのに、こういうところにもいけるところになったんだから、今は時代が変わったという論理でやりたいなら、四大商社とかを例に出すべきでしょう。あと、東大文Ⅱから東洋史学出身者が増えているというが、そもそもどの程度増えてるのか。また、文学部出身の就職状況が良くなったというのも、これも、「増えた!増えた!」、「良くなった!良くなった!」と主張されるだけでは何がどれだけ増えたり、良くなったのかが分からない。歴史学者なら変動状況について数字なども出して主張すべきでは?あと、やたらと高校側に理解ある教育がどうたらこうたらと常々主張されているようだが、高校は大学の都合のいい下部組織ではないということも理解すべき。そもそも、学部を出た後、中学、高校教員として働いたこともない、大学院に篭り、そのまま大学の教員になられた方なのだから、高校、中学などの現状については実地でのご理解はないでしょう。歴史教育研究会などで交流してるなどと言うのかもしれないが、もしそうだとしたら大間違い。ド素人が、東南アジア史関係の比較的中規模な定例研究会に何度もでていたら東南アジア史の実態が分かるか?いや分からない、というのと同じことです。だって、不愉快でしょ?ド素人が、東南アジア史の研究会を突然主催して、何10回か研究会を開催したり、シンポジウムやったり、出前講義をやったりしただけで、「私はヴェトナム中世史のプロです。なんでも聞いてください。」なんて言われたら、不愉快でしょう。

No title

いやはや、高校教育の現場から大学生の就職までなんでも、他人の意見をよく読みもせずになで切りにする先生の腕前には敬服します。
なにしろ私を「ヴェトナム中世史の専門家」だなんてデマというか誹謗中傷(なにがデマで誹謗中傷か、たまには拙著で調べていただけると有り難いですが)を平気ででっち上げられるぐらいだから、私ごときのかなう相手ではありません。

No title

上の上の人が不愉快だかどうだかしらんが、大学教員が高校世界史にかんして主張をしたらあかんというのはどうだろうか。大学院に篭って大学に就職して、そのまま高校世界史にはおかまいなし、という状況のほうがまずくないか。
プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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