「近世化」論と日本

img454.jpg
歴研などでも話題を呼んだ「近世化」の特集が、「アジア遊学」でも出た。
井上智勝氏が送ってくださった。

氏の「近世日越国家祭祀比較考--中華帝国の東縁と南縁から「近世化」を考える--」は、日越両国について
「各々北と南・西の異文化圏に対して「武威」の優越を根拠に対峙し、時に武力を繰り出してそれを確認する共通点を有し、近世にほとんど時を違えずして「二王」状況を出現させた。越南を視野に入れれば、「武威」による華夷秩序や「二王」状況をして、東アジアにおける近世日本の特質とすることは、もはや許されない。「武威」や「二王」状況化の様々な事象を相互に比較検討して、そこから差異や共通点を抽出する作業が、日本の個性や特質--あるいは越南のそれ--を理解するために要請されてくる。」

と述べた上で、両国の国家祭祀を頂点的国家祭祀だけでなく中間的・末端的祭祀まで比較史、近世日本の一見ベトナムと全然違った状況(国家祭祀がそもそも大きな意味をもたないし神道化されている、全国の地方祭祀が体系的に把握されていない)について、
「ここにこそ、儒教的礼文を具えることで文明国の矜恃を保とうとする越南と、儒教的礼文を「神道」の文脈で読み替えて文明国たることを示そうとする日本の差異が現れている」
として積極的に意味づける。氏によれば、国家祭祀の「近世化」が日本である程度達成されるのは、明治維新後ということになる。
明治維新が西洋化であると同時に「中国化」でもあったという議論は以前からあるが、「武威」「二王」を切り口にしてベトナムと比較するというのは、長年日本史学界にラブコールを投げ続けてきた私にとって、まことに嬉しいものである。

さてそれにしても、この比較は「越南のそれ(個性・特質)」を理解するためにも要請される。これまた私が『中世大越国家の成立と変容』あたりから言い続けてきたことだが、日本史をちゃんと理解するのは容易なことではない。さあ大変(汗)。。。


関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセス・カウンター
あなたは
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR