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関大付属の日本史公開授業

関西大学附属の日本史の授業は、文系の受験組の日本史B(7人だけ)で、佐倉の歴民博所蔵の錦絵を見ながら、江戸時代後期の食文化について考えるというテーマ。食べ物屋を中心に江戸の各町内の売り物を並べた絵双六と、お大名も訪れる有名料亭を描いたものの2枚だが、生徒は鋭かった。「屋台など庶民的な食べ物(絵双六の下の方)と高級料亭など(双六の上がりに近い上の方)の両方が描かれている」「ソバなど現在もある食べ物が多い」「参勤交代みたいな行列が料亭を訪れている」など、とても大事な気づきだろう。

公開授業がたいていそうなるように、今日も時間切れで、最後は先生が「消費の増大と商品経済の発展」「貧富の差の拡大と一揆や打ち壊し」「幕府や藩の財政難と改革」など既習の構造的説明にムリヤリ結びつけて終わったのだが、もう1時間とってまとめができたら、生徒の素晴らしい気づきがもっと活きるだろう(私以外の参観の先生方も一致した)。
たとえばそこでは、絵に描かれた食べ物の材料や調理道具、食器がどこから来るかなどが示す流通と商品生産の発展。絵双六にお茶屋が多いことに気づいた生徒もいたので茶の生産・流通でもいいし、団子や餅菓子もあるので砂糖、ソバならそばつゆに必要なものを問う(醤油、みりん、昆布、鰹節など)のも可能だろう。食器や包丁がどこから来たかも問える。

もうひとつは人の移動。絵双六は江戸情報として諸国に持ち帰られたとのことだが、もともと参勤交代などで巨大な数の一時滞在者がいる江戸の構造、さらに江戸後期の労働力移動や観光の発展などにつなげて当時の都市生活をイメージさせるのは、生徒たちが将来「東京に出て行って暮らすかもしれない、しかしその後関西に戻るかもしれない」「その東京での生活もピンキリだろう」ということと結びつく、大事なポイントだろう。それとくらべると、鎌倉時代も室町時代も江戸時代も繰り返される「商品生産と貨幣経済の発展→階層分化と体制の危機」といった抽象的説明は、生徒にだけでなく教員にすら縁遠いことがらのように思われる。とくに「貨幣経済」は教員側がアダム・スミスや大塚久雄の時代の説明しか理解できないようだと、生徒の力になる説明は不可能である。

なお関西の生徒に江戸のことを教えてもやはりピンと来ない部分がある。
昨日の歴史基礎の議論でも出たが、「大阪名所図会」みたいなものを使って同じことをやるローカルバージョンがあってもいいように思われる
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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