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理系向けの/理系的内容の歴史(追加)

大事なネタを忘れていた。
その1。『市民』の第6章では、近世アジアの食文化の変化をコラムで書いた。食品加工や調理の技術と食文化というテーマも、文系・理系双方から入れるテーマだ。これについては21世紀懐徳堂の「アカデミクッキング」というイベントでも、2回ほど紹介させてもらったことがある。http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/seminar/2014/10/6184

なお中国やベトナムに行った日本人がしばしば驚くことに、日本との包丁の性質・使い方の違いがある。中国式の包丁は、基本的にあの大きな刃を垂直方向に動かし重力で材料を押し切るものであって、日本のように水平方向に刃を動かすものではない。背景には日本で鋼の鍛造技術が古代から発達したのに対し、中国では金属の鋳造技術は早くから発達したが、日本のように高度な鍛鉄技術ができなかったことがある。そこで中世以降の日本からもたらされる日本刀が、中国では武器としてまじめに珍重される。他方、中国から東南アジアなどには鉄鍋が大量に輸出されたことが、14世紀の記録にすでに見える。あの熱伝導のいい中華鍋は、中国の鋳造技術の結晶だろう。貨幣も同じで、古代から銅銭が大量に鋳造される。

その2。歴教研ではさんざんやってきたネタだが、暦のこと。古代エジプトやメソポタミア、イスラーム歷にキリスト教の暦(西暦)などについては、どれが太陰暦でどれが太陽暦かということを世界史でも教えるのだが、日本でも「旧暦」として使われてきた中国暦については、たぶん昔はみんなが知っていたせいで、どんな暦かの説明がなく、「陰暦」という言葉からなんとなくイスラーム歷などと同じ太陰暦だと思っている学生が多い。中国暦は、太陽暦でなければ存在し得ない夏至・冬至や春分・秋分があることからわかるように、太陰暦と太陽暦を組み合わせた「太陰太陽暦」であり、この原理は面白がる理系の学生がいるに違いない。太陰太陽暦はインド暦もそうだし、古代ギリシアでも使われている。純粋太陽暦にしないのは、日常生活には月の満ち欠けに合わせる方がわかりやすい面があるからではなかろうか。ちなみに太陰太陽暦では、太陽暦とのずれを補正するために「うるう月」を入れて1年を13か月にする方法が必要になる。中国暦ではその算定法に2種類あるが、2033年にはどちらの方法でも何月にうるう月を入れるか決められないそうだ。

この暦の理解は、理系の大学人を含む「現代市民」に必要なものである点も、何度となく説明してきた。なぜか。大相撲の大砂嵐というムスリムの関取は、断食をしながら土俵に上がっている。中国・韓国・北朝鮮やベトナムでは今でも旧正月を祝う。ということは、そういう国からの留学生を受け入れている専攻は、日本の学年暦に機械的に従えない学生への配慮が必要になるケースがある。その国へ行って仕事をする際も、たとえば旧正月の3か日は大学も役所も休みで仕事にならないということを心得ておかねばならない。
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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