歴教研1月例会

今月は歴教研事務局の若手による発表。各自の専門と歴史教育をどう結びつけるかについての意欲的な発表がなされるはずである。

大阪大学歴史教育研究会・第83回例会につきまして、以下の通りご案内申し上げます。

日時:2015年1月17日(土)13:30~17:30

場所:大阪大学 豊中キャンパス 文学研究科本館2階 大会議室

1.猪原 達生(大阪大学博士後期課程・日本学術振興会特別研究員)
 「宦官研究の現在・過去・未来 ―中国の事例を中心に―」

【要旨】
 後宮に仕える去勢男子である宦官は、これまで専ら政治や権力と結びついて語られ、蔡倫・鄭和等のごく一部を除いては、基本的に国家の衰退・滅亡の元凶として否定的に捉えられてきた。日本人が宦官に対して持つこのようなイメージには、古典的名著である三田村泰助『宦官―側近政治の構造―』(中央公論社、1963年)の影響が極めて大きいといえるだろう。しかし、報告者は現在までの研究水準を踏まえ、新たな分析視角を加えることでこの一面的な宦官像を改める必要があると考えている。
 本報告では、まず日本を中心に宦官の研究史を概観し、中国の宦官の通史を紹介する。そのうえで、報告者が専門とする中国唐代の宦官を例に、宦官の性のあり方や結婚、養子による家族形成といった問題について、ジェンダーの観点から新たな側面を提示する。以上の報告を通じて、現在までの宦官研究の到達点と今後の未来図を提示したい。これらについて、参加者の皆様と議論できれば幸いである。

2.中村 翼(大阪大学大学院文学研究科助教/共生文明論)
 「東アジア海域史研究と日本史研究」

【要旨】
 「(日本の)対外関係史」ないし「海域史」が活況を呈している・・・といわれるようになって、四半世紀が経つ。
そこで提起された「一国史」の克服や〈アジアのなかで日本列島の歴史を考える〉という問題関心は、グローバル化に翻弄されない市民の養成という意味でも、研究・教育の各方面において、より一層の充実が求められるところである。
 一方、報告者が関心をもつ日本史研究においては、日本国内での内在的発展を基軸とすべきとの見解も無視できない重みを持っている。「近代国民国家論の射程から過去の研究を批判・総括する議論がある程度、出尽くした」という現状認識から、近年、改めて提起された主張であり(上島享『日本中世社会の形成と王権』名古屋大学出版会、2011年)、これを旧態依然の議論と簡単に切り捨てるわけにはいかないだろう。
 以上のことを意識しつつ、本報告では、海域史の研究視角とその成果、今後の課題について、主に日本史研究との接点を意識しながら示してみたい。
 またそれを通じて、「日本史を組み込んだ世界史」という構想が陥りやすい罠とその克服の方法についても、あわせて議論を深めていければ思う。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセス・カウンター
あなたは
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR