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六波羅幕府



高橋昌明さんの『平家と六波羅幕府』への美川圭さんの書評が参考になった。

原著が指摘する、戦前に軍国主義と結びついて普及し戦後歴史学が受け継いでしまった「質実剛健で進歩的な武士」vs「軽佻浮薄で反動的な貴族」という歴史像の問題点は、関西の日本史学界では常識だろうが、歴史教育の場ではいまだに支配的であろう。これは変えねばいけない。ついでにいえば、鎌倉幕府が進歩的(そこから中世が始まる)で貴族化した平家がそうでないという歴史像は、明らかに「東京中心史観」にもとづく。これも関西ローカルの地域興しとしての平家顕彰でなく、日本史像全体の問題として教育を変えていく必要があるだろう(鎌倉のある神奈川県でこんなことを言ったら殴られるかもしれないが)。

ついでにこれも原著が指摘する、政権を指して「幕府」という用語は、幕末に尊攘派の後期水戸学者によって一般化されたものが明治期にお上によってオーソライズされ、しかも鎌倉・室町・江戸の3政権だけを幕府と呼ぶことにされたという事実も、たとえば高校教員は知っておくべきだろう。

美川さんの批評は、高橋氏の鎌倉幕府理解を黒田俊雄氏の権門体制論および佐藤進一の東国国家論との関係で論評したところも参考になる。しかし印象に残ったのは、高橋氏が指摘する「幕府」という用語の政治性および、高橋氏の平家研究の斬新さ(それは頼朝と比べても、院政に変わる新しい王権を構想したことなど多くの面で新しかった)から見れば、「これも鎌倉幕府と同じく幕府である」というオチにしてしまったのはおかしいのではないかというツッコミである。なるほど。説得的だ。


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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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