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史学雑誌の「回顧と展望」

歴史学界の特徴は、対象地域・分野、学閥や日本国内の地域、政治思想(純アカデミズムかマルクス主義かetc.)などによって多数の群小学界が乱立していることだ。「日本歴史学協会」という組織があることはあるが、これは諸学会の寄り集まりに過ぎず、たとえば高大連携について有効な動きができるわけではない。

そのなかで純アカデミズムかつ歴史学全体をカバーする学会として権威があるのが、東大史学科を母体として設立された「史学会」である。今年創立125周年を迎えるそうだ。その雑誌が月刊の『史学雑誌』である。

史学雑誌の通常号は投稿論文を掲載するので、若手の登竜門として機能している。
それとは別に、毎年5号は前年の日本の学界の研究成果を地域・時代・分野ごとに振り返る「回顧と展望」の専号として発刊される。これの自分の専門分野(東南アジア史なら東南アジア史)の部分は、たいていの研究者が読む。学生にも、まず自分が関心を持つ分野の「回顧と展望」を読めという指導がよくされる。

私も最初は「東南アジア史」だけ読んでいたのだが、海域アジア史などをやり出してからほかの部分も読むようになり、もう10数年にわたって、全巻に目を通すようにしている。見たことのある方はご存じの通り、大半はその分野で前年に出た論文・書籍の著者名、タイトル、掲載誌と巻号や出版社、1行か2行の中身の紹介が並んでいるだけの、およそ無味乾燥なものだが、それでも毎年読んでいるといろいろな動向や特徴、分野ごとの慣習や意識の違いなどが見えてきて、勉強になる。

今年は6月末に買ったきり忙しくて、東南アジアと巻頭の「総説」「歴史理論」以外のところを全然読めなかったのだが、この週末に他の仕事を放り出して、やっと最後まで目を通す(まったくの走り読みだが)ことができた。明日からその感想や気づいた点を書こうと思うが、まず気になるのは、論文1本あたり10行の紹介文を書ける分野(つまり研究者や論文の数に比して多くの紙数を与えられている)と、著者名・タイトルや雑誌名込みで1本2~3行がせいぜいである分野との、著しい不均衡である。担当者別でも(与えられた原稿枚数は同じではないが)、その分野の論著が200点以上あったという人と、10数点しかなかったという人がいる。もちろんある分野で1年間に出る論著の点数の正確な予測は不可能だし、単純に点数比例でページを割り振ればいいというものではない。
が、「昔はメジャーだったが、現在は社会的な重要度が下がり研究者も減っている」分野がいつまでも多くの行数を与えられているのを見ると、「マイナーな振興分野」の専門家としては、不公正を感ぜざるをえない。




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プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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