新盆と旧盆

毎日新聞には校閲記者が、珍表現や誤植の経験を書く記事が時々載り、「校正物質」の私にも参考になるのだが、先日は「新盆と旧盆」という記事が出ていた。

そこでは、お盆に供えるホオズキについて「7月の新盆と8月の旧盆に出荷」という文言が、典型的な誤りの例として取り上げられていた。
もとの記事を書いた記者は、新暦のお盆と8月の旧暦のお盆というつもりで書いているのだが、「新盆(にいぼん)」はその人が死んで最初のお盆を言うので、「7月の新暦のお盆」ではない。また現代日本で8月16日前後にやっているお盆は、「月遅れのお盆」であって、旧盆(旧暦のお盆)ではない。新暦と旧暦はちょうど1か月ずれているわけではなく、本来のお盆の日である旧暦の7月15日は、2012年には新暦9月1日だったそうだ。このへんは、阪大歴教研で以前に中国暦の仕組みについての発表を聞かれた方はご存じだろう。旧暦(中国暦)は、ふだんの1か月は月の満ち欠けに合わせて29日かたは30日とするが、それで生じる季節のズレは、「数年に1回、1年を13か月にする」というダイナミックな方法で解消するから、新暦(西暦)との対応関係は、年によってずいぶんずれるのだ。

それにしても、阪大では毎度毎度しゃべっているが、お盆や七夕に見られる「月遅れ」という習慣は、中国・韓国やベトナムでは考えられないやり方である。日本文化の不思議さをよく表している。
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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