スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

校正物質と漢字のルビ

調査に行ってる友人やゼミ生をうらやましがりつつ、今週の私は編集委員をしている論集の初校で「校正物質」のお仕事。
これは「抗生物質」の誤変換ではない。何度も書いたが、昔の京大東洋史では学術雑誌の編集や工具書の作成を院生に手伝わせて、「抗生物質」や「索引用動物」を養成していた。私のように意地悪で他人のあら探しが大好きな人間は、校正に向く(ただし3年前に自分の研究書を出した際に衰えを暴露した。老眼で校正はツラい)。

今回の最大の悩みは、誤植の修正ではなく、漢文圏に関する論文で固有名詞や専門用語にどこまでルビをふるかということ。どの出版社でも、経験のない編集者には任せられない仕事である。

漢文知識の後退や世界史必修が事実問題として崩れている点も考えると、親切にルビをふるべきなのだが、しかし世にごまんといる「中国史なら漢字は全部音読みするものだ」ということがわかってない(または漢字の知識として音読みと訓読みの区別が身についていない/漢字がたくさん並ぶと頭がフリーズする)読者に合わせたら、すべての漢字にルビが必要になる。どこで線を引くかが悩ましい。長い書名の一部に難読漢字が含まれているような場合、全部にルビをふるかそれとも難読のところだけにするかも問題だ。

ちなみに漢文圏について、「常用漢字以外にルビをふる」という原則はあまり意味がない。慣用でふつうと違う読みをするもの(仏教用語によくある。歴史書の書名によく含まれる『通鑑(つがん)』なども)や、易しい字だが複数の音読みがあるものでどちらの音を使うか(例:「行」は「ぎょう」か「こう」か、「易」は「えき」か「い」か)などが問題になるケースが山ほどあるからだ。日本史(日本の古文)と中国史で同じ漢字を書くが、意味は違うのでわざと別の読み方をする、といった例もある(「家人」は日本史なら「けにん」だが中国史は「かじん」)。

もう一つ、朝鮮半島やベトナムの歴史について困るのは、漢字の語句に生かじりの現地音のルビをつけた一般書などがよくあること。これも日本の音読みで読む場合と両方あるから、混乱が生じやすい。いちばん親切にやる場合は、(縦書きであれば)漢字の左右に日本読みと韓国読みないしベトナム読みのルビを併記したりするのだが、今回は世界史の論集なので、そこまでやるのも凝り過ぎと言われそうである。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
アクセス・カウンター
あなたは
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。