カールスルーエ・モデル

昨日の毎日夕刊(大阪本社版)の連載随筆「水辺逍遙」(佐伯一麦氏)が、ドイツのカールスルーエの公共交通のことをとりあげていた。毎日新聞のHPにはまだ出ていないようだが、「カールスルーエ・モデル」で検索すると、ネットの記事がたくさん出てくる。

市街地にくまなく路線をはりめぐらしているトラムが郊外路線にも乗り入れ、郊外では高速で走ること、トラムとバス、鉄道、さらにマイカーなどとの乗り換えも、空間的に容易に出来ていること(運賃面でも同一ゾーン内ならタダで乗り継げるはず)など、要するにマイカーを使わずない場合の移動の不便さを大幅に減少させて(そのための費用に運賃収入だけでなく税金を使うことには、社会的合意ができている)、公共交通機関の利用者増や排気ガスの抑制につなげているという話である。マニアには常識だが、今でもマイカー中心の交通こそが進んだ交通だと信じ込んでいる日本では、一般にこういう知識が広まるスピードはひどくゆっくりしている。富山市が実践しても、他の都市はなかなか動かない。

近くのライン川では河川改修で氾濫原を減らしたらかえって洪水が増えたことを反省して、氾濫原を復活させているという話、ついでにカールスルーエでは原発を解体中であるという話も、佐伯氏は書いている。

今日の朝刊の「くらしナビ 環境」という欄では、米のNPOが主要16か国の省エネ政策や導入率など31項目を評価して順位をつけたら、日本は2012年の初回に上から4番目だったのが、今度は6位に落ちたというニュースを紹介している。米国は13位とずっと下だが、建物の省エネ化や電気自動車・プラグインハイブリッド車の普及政策などが高得点の中国(4位)は実は日本より上。日本は火力の発電効率はトップだが、商業ビルでの面積あたりの消費エネルギーが多いこと(わかる!)や、熱電併給システムが不十分であるなどの問題が響いており、「省エネ分野で長くトップを走ってきたが脱落している」のだそうだ。

トラム(LRT)も省エネも、技術がないのではない。この日本に、技術がないなどということはない。過去の成功体験にあぐらをかいて、新しい努力をしようとしない点が問題なのだ。要するに日本は、多くの点で世界トップレベルから落ちこぼれつつある。国連のジェンダー平等指数に至っては100位以下。
日本を追い抜いたアジア諸国をやっかんで相手の地位を下げようとネガティブキャンペーンに夢中になっている人たちは、こういう点を勉強して、日本自身の順位が上がるように努力できないだろうか。議会を軽視して行政権力の力で何でもやっていいと考える政治家は、その「リーダーシップ」で、ヨーロッパでもアメリカでも中国でも当たり前になっているトラム(LRT)中心の便利な街作りぐらいはできないのだろうか。


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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
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