ベトナム戦争に「参加」した日本人たち

今朝の毎日新聞に、ベトナム戦争中に米軍に雇われて戦地に赴いた基地労働者や船員などの話が載っている。
http://mainichi.jp/topics/soci_20140726_1816.html
当時の日本政府が集団的自衛権行使を認めていたら、間違いなく日本の自衛隊はベトナム戦争に参戦していたはずである(米国の同盟国である韓国、タイ、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランドが派兵している)。また米軍機は沖縄の基地からベトナムに出撃しているから、沖縄は戦場だったことは言うまでもないし、岩国・横田・厚木など本土の主要基地も思い切り利用されていた。要するにベトナム戦争は日本にとって、「他国の戦争」ではなかった。それでも、日本が自衛隊を送れなかったこと、他方で強力な反戦運動が起こったことは、米軍にとって大きなマイナスだった。

集団的自衛権にもとづいて派兵した諸国のうち、特別に反共意識が強い韓国軍は大いに「奮戦」したとされる。そして自国への経済援助と引き替えに、枯れ葉剤被害者など多くのマイナスを背負った。日本の在特会などが鬼の首を取ったように騒いでいる「ライダイハン(現地女性との間に生まれた混血児のこと)」の問題など、韓国軍による非人道的な行動もその一つである。京都大学の伊藤正子准教授が紹介しているように、20世紀末の民主化の中で、韓国にはこの問題と真剣に向かい合い、謝罪と和解を実現しようとする(そうでなければ日本を批判など出来ないと考える)市民運動も広がっているが、日本でそうであるように、韓国でもこういう動きには反発も強いと聞く(いずれにしても、金大中大統領はベトナムに謝罪した)。

さて、日本の自衛隊が将来、中東や東南アジアに派遣されて、大きな被害や不名誉を背負う心配はまったくないのだろうか。戦争というのはそんなに甘いもんじゃないだろう(それは自衛隊員の質の善し悪しという問題ではない)。が、政府や集団的自衛権推進派の有権者が、そのことを真剣に考えているようには見えない(先日書いたように、そうならないための情報収集や、その不可欠の前提となる第三世界理解に真剣であるという話は、どこからも聞こえてこない)。集団的自衛権反対派を、やれ空想的平和主義の平和ボケのと非難するのは、まさに「どの口が言うか?」であろう。
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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