いまだに「人種のるつぼ」と教える高校歴史教員の怠慢

共通教育「市民のための世界」、モンゴル帝国の章の小テストは、このブログでもたびたび紹介したモンゴル帝国と現代のアメリカ合衆国の共通点を書かせる問題を今年も出題。

-トップリーダーの強大な権力の一方での連邦国家的性格
-民族・人種や社会・文化・宗教などの多元性
-スタート地点の差別や結果による差別はあるが、実力本位の競争が万人に開かれている点
-世界最強の軍事力を世界最先進の掲載の仕組みや商業の自由化を押しつけるために使う点
-服属した者に軍事協力を強制する点
-商業・経済発展のために交通・通信の発達に力を入れる点
-グローバル化の推進の負の側面である混乱の急速な拡大を起こしてしまった点

などいろいろな答えがあり、多くの答案がそのうちいくつかを書いていた。
ただしいけないのは、合衆国の人種や宗教・文化の多元性を言うのに、「人種のるつぼ」という古い表現を書いた答案がたくさんあったこと。講義では「現在はサラダボウルと呼ぶ」と言ったつもりなのだが、おそらく高校までの知識で「るつぼ」と書いてしまったのだろう。

それぞれの集団が本来もっていた文化がなくなってしまう「るつぼ」ではなく、もとの文化を保ったまま全体として「合衆国という新しい料理」を作る「サラダボウル」という言い方を合衆国で採用してからずいぶんになるはずだ。日本の教科書にももはや「人種のるつぼ」とは書いてないはずである。

地理の教師は、いくら忙しかろうが、世界の新しい状況や新しいデータをフォローし続けないと授業ができない。他方、歴史の教員は、失礼だがその点で怠慢な先生が多いのではなかろうか(教科書が変わっても「古い穴埋めプリント」による授業を変えない先生も多いらしいという話は何度もふれたが)。

もう1点は気になったのは、これは学生の国語力の低下の一種かと思うが、「アメリカが各国に規制緩和を押しつけるように、モンゴル帝国も服属した国に(色目人などの)商業活動の自由を押しつける」と講義したのについて、「規制緩和」を「支配側(アメリカやモンゴル)が服属国の行動を押さえつけずに自由にさせてやる」意味だと誤解したらしい答案がいくつかあった。
ため息。
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ダオ・チーラン

Author:ダオ・チーラン
ヒツジ年生まれで写真のニワトリに深い意味はない。横浜で生まれ育った関東人だが、大学入学後現在まで関西で暮らしている。
本業は歴史学者で、専門は中・近世のベトナム史、海域アジア史、歴史学の評論・解説など。
趣味はパ・リーグを中心としたスポーツ、鉄道ほか。
このブログの意見はすべて筆者個人のものであり、いかなる組織にも関係ありません。

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